マセ山洞窟遊歩道パーフェクトガイド 石川県随一のガチ洞窟遺跡 御保谷の2つの登山口と駐車場(石川県小松市大杉上町)

石川県の洞窟スポットといえば巌門、尾小屋鉱山や額谷石切り場などメジャー系の観光地を思い浮かべますが、このマセ山洞窟はGoogleMapにも載っていない、山奥の竪穴からハシゴで5メートル降りるヘッドライト持参必須の県内屈指のガチ洞窟です。しかも4500年前に縄文人が住んでいたり山賊の住処で宝物があったと云われたりと謎も多い場所です。

必要な道具と地図

自作略図(クリックで拡大)

必要な道具 地図と方位磁石と手袋とヘッドライトは必須。ヘルメットできれば

道具は洞窟地図と方位磁石と手袋とヘッドライトは必須です。あとハシゴを降りる時に頭をぶつけやすいので出来ればヘルメットもあれば持っていくと安心です。地図は自作略図を作りましたのでホームページの図を印刷して持っていってください。登山地図は入り口さえわかれば必要なさそうなルートですが、GPXが利用できる方はダウンロードして頂ければ安心です。

地図とGPXダウンロード

マセ山コース1 南側貸田登山口ルート

マセ山洞窟の位置と登山ルート

小松市埋蔵文化財センターでもらった案内地図

マセ山洞窟はその名の通りマセ山にあります。よくある山の横から入るのではなく、なんと頂上からハシゴで降りるという潜水艦のようなタイプ。ということで登山ルートがあるのですが、紛らわしいことに同じ県道46号線沿いに並んで2つ入り口があります。

1つは東側の日渡登山口、もう一つは南側の貸田登山口です。洞窟だけが目的なら南の貸田登山口から行くのが無難です。ちょっとスリリングな登山を楽しみたい方は東の日渡登山口の方から登るのもよいですが、下りは貸田登山口に降りる周回コースにすることをおすすめします。

小松市埋蔵文化財センター

国道360沿いの小松市埋蔵文化財センター、前知識として立ち寄る

縄文時代の遺跡ということでとりあえず行く前に立ち寄りたいのが小松市埋蔵文化財センター。

場所は金沢市内からだと国道360号に少し寄り道する形になります。市営の考古学博物館で入場料たったの100円で結構楽しめます。

学芸員の方にマセ山洞窟の事を聞いたら小松市内遺跡の分布図で位置、縄文時代当時の様子などを親切に教えて頂けます。そもそもこの洞窟に縄文人が住んでいたという根拠は昭和36年に地元の中学生が縄文土器片をみつけたことからだそうです。その後の調査で同時期の獣骨も発見されました。

場所を教えてくれる。矢印の丸がマセ山遺跡。すぐ北にも遺跡の丸が

マセ山洞窟の説明と場所がのった地図をもらえます。小松市内には他にも合計24の遺跡スポットがあるので、これを気に巡ってみるのも楽しいでしょう。

マセ山に人が住んでいたと言われる時期の地形

マセ山遺跡に人が住んでいたと言われる縄文時代後期前葉(4500年ほど前)の地形はもう弥生時代ほぼ同じだったそうです。縄文海進で今の木場潟が海になっています。マセ山はさらに南ですが、今のような山奥の雰囲気とはまた違っていたことでしょう。

貸田登山口より

マセ山登山口 貸田口(南側) こちらが楽なのでおすすめ

まずは南側の貸田登山口からのルートを紹介します。小松市内から赤瀬ダムの横を抜け大杉の動山の前、県道43号線を牛ヶ首峠に向けて走ります。御保谷甌穴を過ぎた辺りから左に注目しましょう。登山口の看板を発見できます。この看板、たまに倒れてるので注意してください。牛首峠への七曲坂に入ると行き過ぎです。 駐車場は車線が広いので登山口横に寄せておけば大丈夫です。

マセ山登山道の様子

はっきりとした登山道を100メートル位登る

登山と言っても100メートル強なので30分程度を見ておけば大丈夫です。最初は林の中を歩きます。地面は枯れた木の枝がグリップします。傾斜は徐々に急になります。

ロープが連続して張ってあるのがありがたい

上からは蜘蛛の糸ならぬロープが垂れ下がってきます。さほどの傾斜ではないのですがありがたく使わせてもらいましょう。登りやすいように重なる形で連続してロープが降りてきています。

頂上の看板に従い右に巻いていく

やがて木に「頂上右」の看板が。特に分岐もないので迷うことはないのですが尾根を道に沿って右に巻いて行きます。

岩はもれなくコケ色

このあたりの岩は水分が多いのかもれなくコケが生えています。踏む時は滑らないように注意してください。

北にちらりと見えるのは動山かな?

登山道の展望はほとんどありませんが、ちょっとだけ北側が開けた箇所がありました。来る時県道から登山口が見えた、ゆるぎ山と思われます。

また頂上の看板。→上というのがくどくてまたいい。

再び頂上看板。今度は「右矢印に上」のオプション看板が。このくどさがまたいい感じです。視線の先には緑色の大岩が。

大きな岩を左に上がれば看板と洞窟入り口が見える。

まるで日本庭園の様な真緑の岩岩が並びます。岩の間を抜けるとすぐぎ目の前にはマセ山洞窟の入り口と看板が。

洞窟へ入る人はハシゴの登り降りに注意してください(入るなとは書いていない)

「洞窟へ入る人はハシゴの登り降りに注意してください」。入るなとは書いてないのが小松市の心意気を感じさせてくれます。

入り口からはアルミはしごの先が見える

その先、岩の切れ目にはアルミバシゴの先端が。ここから5メートルも降りるわけです。

はやる気持ちを抑えつつ、まだ洞窟には降りずに左の岩の間を抜けてみましょう。

先にマセ山展望岩へ

洞窟の前にハシゴがかけられた展望岩へ

洞窟の入口の横を抜けるとまた別のハシゴが岩にかかっています。この上が展望台になっていますので、洞窟の前に登っておきましょう。

展望台岩より。高度感があるがロープもあり安全

なかなか高度感がありますがロープが張ってあり安全です。

マセ山展望岩よりの眺め。300m程度の山ではあるが結構先まで見える

マセ山は高度300m程度の低い山ですが、意外とここからの展望はよいです。昼食を持ってこられた方は洞窟に入る前に、ここでランチを済ませたほうがよいでしょう。洞窟にいると独特の匂いが付いてしまうのがその理由です。

マセ山洞窟入口付近。警告看板の左奥が入り口のハシゴ

展望岩から洞窟入り口付近の眺めです。ここからは入り口は見えません。

木でふたをしてある穴。下はマセ山洞窟南側 青龍洞の上辺りと思われる

その左側に木でフタをしてある穴があります。まるで落とし穴にみえますが、入るなということでしょう。後でわかりますが、これは西側洞穴の真上で落ちたら骨折必至です。注意。

いよいよマセ山洞窟

長いアルミバシゴを降りる。枕木がちょっとスリリングな朽ち加減

おまたせしました。ではマセ山洞窟遺跡探検に行きましょう。ヘッドライトの準備はいいですか?

見るも恐ろしい長いはしごを慎重に降ります。それを支える枕木と横からの添え木の朽ち加減がスリル感を倍増させてくれます。

複数人で行く場合は必ず1人づつ入りましょう。重量の問題ももちろんですが、下に全員いる状態で何かあったらアウトだからです

十人洞

自作略図(クリックで拡大)

ハシゴを降りた十人洞。ここだけ平たい

ハシゴを降りたところにある平たい部分が十人洞窟です。ちょっと10人は立て無さそうですが縄文人は小さかったのでしょうか。

竪穴なので水が溜まってるかなと思って長靴出来たのですが、床面は土で乾いていました。どこからか地下水として抜けているのでしょうか。不思議です。

方位磁石を見ると北側と南側、西側にそれぞれ洞穴が伸びています。まずは北側、「コウモリ洞」へ。

コウモリ洞

第1コウモリ発見 プルプルして怯えている?

コウモリというと吸血して人を襲うイメージですが、見つけた第1コウモリは硬直してプルプル震えて怯えた様子。

怖がっていいるのかこれが平常状態なのかはよくわかりませんが可愛らしいものです。

と、余裕で構えて進むと、、、、、

コウモリ洞は名の通りコウモリのコロニー。壁にはびっしり

壁一面にブルブルしたコウモリ群。さすがに「可愛らしいものです」は驚いて羽ばたくコウモリと共に飛び去ってしまいました。

ハシゴ北側(正面)コウモリ洞は左右に別れ左側は下りで双方行き止まり

コウモリ洞は名の通りコウモリのコロニーです。

その先を照らすと左側は下に落ち込む形で行き止まり、右のルートも少し登って細くなって終わりになっています。ちょっと左のコウモリ群が気になるのでハシゴにすぐに戻ります。

白虎洞

ハシゴ南側(裏側)白虎洞はちょっと高台になっている。その先はすぐに行き止まり

ハシゴの裏側はロフトのようにちょっと高台になっています。縄文人の寝床だったのでしょうか。ここもさほど深くは無さそうです。

第一カエルも発見

第一カエルも発見しました。背中のイボイボが、早くここから出たい感を盛り上げてくれます。

青龍洞

ハシゴ西側(向かって右)の青龍洞は細いスリットで結構長い。壁のコケがライトに眩しく反射する

最後、勇気を振り絞ってハシゴ向かって右、西側の青龍洞に向かいます。青龍洞は細いスリットで今にも左右から押しつぶされそうな圧迫感があります。

壁にはヘッドライトに眩しく反射するコケがびっしりとついています。表の緑色のコケとは明らかに異なりそうです。

青龍洞方向5000年前の階段も?

途中には人工的を思わせられる階段が数段あります。縄文人が削ったのでしょうか。ありがとう縄文人。

底が丸い穴状になっており木の破片が。囲炉裏かな

階段の先は丸い穴状になっており、中央には木の破片のようなものが散らばっています。囲炉裏?そういえば上に穴があったので換気は問題無さそうな気もしますが。

西青龍洞側最奥地点。これ以上はダイエットしないと無理そう

やがて青龍洞も細くなり終点へ。これ以上はもっと痩せないと入れなさそうです。

地上へ

5メートルのアルミはしご。2重にして補強してある

さて、名残惜しいですがそろそろマセ山洞窟遺跡をあとにしましょう。5メートルのアルミはしごは2重にして補強してあり、ハシゴ自体はしっかりしています。(その土台がやや怪しいですが・・・)

帰りのハシゴより。地上がまぶしい

なんにせよ、あの急な山道をこの大きなハシゴを持ってきてくれた方に感謝です。いい経験ができました。

地上に生還。生きている実感

地上。6月なのに洞窟内は息が白いくらいの温度でしたが地上はもう夏並みの温度で身体を温めてくれます。洞窟内の木の発酵したような独特の香りはもうそこにはありません。空気ってこんなに美味しかったのですね。

大杉側の方から流れてくる初夏の風が生きていいるという実感を感じさせてくれます。

おまけの周回コース

マセ山 日渡登山口 2つ並んだ石標が目印

おまけで東からの第2コース、日渡登山口からのドキドキコース(勝手に名付けた)を紹介します。

マセ山コース2 東側日渡登山口ルート周回

日渡登山口は小松方面から来ると、南登山口の手前にあります。2つ並んだ石標と背後の鈴ヶ岳への橋も目印です。

杉林を踏み跡をたどりジグザグに登る

こちらは開けた杉林からスタート。ジグザグに踏み跡があるので道は迷うことはありません。

が、、

ロープ数箇所あるがない場所は3点支持で慎重に

岩場に入ってからの傾斜はかなり急勾配。ロープは数箇所ありますが、途切れていたりして、木の枝で補助しながら3点支持で登ります。

一箇所倒木に身を任せなければいけない場所もありなかなかスリリングな登道です。

コケでぬるついた岩場の難所を登る。下りはオススメしない

大きな岩に苔がびっしりついた難所。慎重に足場を選べば登れますが、下りはおすすめしませんので周回して簡単な南側から帰りましょう。

途中見えるスリット。マセ山洞窟に繋がってる?

この経路だと途中に気にになるスリットが見えます。方向的には先程の青龍洞の奥の様ですが、繋がっているのでしょうか。

重要な分岐ポイント。ここを右。左はそのまま北尾根に抜けてしまう

日渡登山口からの方はこの岩のポイントを見落とさないようにしてください。ここを右で先程の展望岩の前に出ます。左へ行くとそのまま尾根を縦走するルートに入ってしまいます。縦走ルートはそのまま北へと続いていました。そういえば埋蔵文化財センターで北側に遺跡マークがあったのを思い出します。鞍部を通って次の340メートルピークまで行けるのか行き止まりなのか。時間が余った方はトライしてみてください。

参考リンク

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