紅葉シーズン刈込池の大渋滞と駐車場満車を回避する満足ロングコース(20km+638m/福井県大野市)

刈込池の紅葉

福井県大野市、県道173号線の先の刈り込み池の、その鏡の様な水面に映える紅葉は北陸屈指の季節限定絶景と言えるでしょう。しかしながら、この池の登り口の駐車場は限られており、近年においては紅葉シーズンの大渋滞を引き起こしています。早朝に入らなければ、かなりの時間を車の中で待たなければいけません。

そこで、ここではこの刈込池の手前にある鳩ヶ湯の駐車場から徒歩で登山口を経由するロングコースを紹介します。長い距離の舗装路を通るコースですが、別山の壮大な姿や、車の中からでは、なかなかみられない崖の下の見事な三段のサコサガ滝をゆっくり見ながら歩く事ができる満足コースです。

鳩ヶ湯停留所

紅葉シーズンの週末の刈込池の駐車場規制は、登山口手前約6kmの鳩ヶ湯横からです。この期間は一定数以上、入場が規制されますので、駐車場が満車の場合は先行した車が戻ってくるまでこの地点で待たなければいけません。もちろん、ここから歩くロングコースの場合は関係ありません。渋滞を横にスタートしましょう。

遠くに別山を望む

県道は峡谷は切り立っており、刈込池が色づいている頃にももう、ちらちらと木々の赤が目に入ります。岩肌とのコントラストを楽しみましょう。渓谷の先に見えるのが別山です。その標高から高木はなく、その滑らかな山肌はとても存在感があります。

サコサガ滝

橋を渡りしばらく進むと左手下にサコサガ滝は流れ落ちています。段を刻み木々が覆い重なる姿は他に無い趣があります。こんな伝説があるそうです。

その昔、この滝に仙人が住みついていた。ある時、一人のお遍路が詠歌を口ずさみながら滝の近くに来ると仙人が「三十三番礼所を通せ」と叫びながら進路を阻んだので、お遍路は「音で名高いサコサガ滝、これも時々あやかるか」と詠み返した。

すると仙人は「これは見事じゃ」と滝の近くを通してくれたという伝説が地元に残る由緒ある滝である。

橋の向こうに願教寺山

緑色の橋が見えてきます。その先に見える山には蛇行した車道が設けられており、そこで標高を獲得することになります。

谷を渡る

橋は吸い込まれるように山の中へ渡っています。渓谷の風景はしばらく見納めです。

遠方に鳩ヶ湯

斜度が急に上がり、登りごたえのある蛇行路になります。垂直にショートカットしている人も見かけますが危険なのでやめましょう。何度かの蛇行の後、ふと後ろに目をやると遠くにスタート地点の鳩ヶ湯の赤い屋根が見えます。

刈込池は願教寺山の横の台地の裏あたりに

蛇行が終わると再び緩い登りの舗装路になります。眼前には願教寺山の特徴のある頂上が見えます。この頂上は登山道は無く簡単にはたどり着く事は出来ないそうです。左に広がる台地の奥に今回の目的地の刈り込み池はあります。

小池到着。シーズンは駐車場が満車に

小池駐車場はキャンプ場になっており、紅葉シーズンには刈り込み池のメインの駐車場になっています。さらに先には最も近い上池駐車場がありそこはすぐに埋まってしまいます。

刈込池はそちらに登らずにキャンプ場の中の林道を通って行きます。トイレはここにあります。途中で刈込池への分岐看板がありますので見逃さない様に注意してください。

コース分岐。右は近いが階段がきついので健脚向け

橋が見えるとコース分岐です。周回できるのでどちらからでも大丈夫です。右は急な石段になっておりややハード。左はやや緩い岩場を登るが遠回りになります。今回はロングコースなので欲張りに周回しましょう。

石段コースは686段の階段

右コースの石段はなんと686段。しかもピッチは広めです。ペースを十分に落とし、足に負担がかからない様に気をつけてください。

急な階段を上昇

100段ごとに残り段数の案内があるのでどれくらい登ったか把握することができます。頑張りましょう。

ブナ林へ

やがて石段は終わり、平坦な台地になります。丁度先ほど見た願教寺山の平たい部分です。ブナの美しい光景が目の前に広がります。多少アップダウンはありますが気持ちのいい山歩きです。

木々の隙間に水面が表れる

左手に注目しながら歩くと、木々の間に青が見えます。池に反射した空の色です。喧噪は増し、たくさんの人が休憩している池のほとりにたどり着きます。2カ所程撮影ポイントがあります。どちらもぬかるんでいるので足下には気をつけましょう。ベンチもいくつかあるので休憩もできます。

木漏れ日のブナ林を進む

この付近は昔、大蛇が多く住んでいて住民を苦しめておりました。

東側の埠頭

それを見て泰澄大師は白山開山のさい、千匹の大蛇をかり集め、法刀をもってことこごく貫き「汝等かくもあさましき姿をもち、悪食を好み、三熱の苦をうけるよりは、この池に入り弥勒の出世を待つがよかろう」と諭しました。

大蛇はみな涙を流して角をふせ、自分の姿を桧に残してことごとく、池に入ったといわれています。(刈込池の伝説より)

黄色も見納め

東側の先にもブナ林が続きます。周回しない場合はここで戻る事になりますが、今回は先に進みましょう。

左手を覗くと絶壁が見えます。後ほど下からも確認できますが下は崩落しており半分空中にせりでている状態です。

願教寺山大崩落で形成された幅ヶ平

刈込池の台地は幅ヶ平と呼ばれ、火山活動による崩落により形成されました。その崩れた岩肌はこの台地がその堆積物である事を感じさせます。上にブナが半分根をだしています。今にも崩れそうでぞっとします。

石場コース

帰りの東側の斜面は石場になっています。登りよりは緩いですが、やや苔がついているので滑らないように注意してください。あとは川沿いに降りてまっすぐ行けば先ほどの小池駐車場です。小池駐車場から鳩ヶ湯までは長いですが、景色を楽しみながら戻りましょう。

またのおこしを

なお、鳩ヶ湯は2014年から営業を再開している秘湯感がある温泉です。日帰り入浴もありますので帰りには是非お立ち寄りを。また、県道の先の白山神社のケヤキも要チェックです。

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