山中温泉水無山 天狗岩アスレチックと巨大展望台パノラマの後は鶴仙渓の景色を楽しむ周回コースへ最後は温泉で湯ったり(7km+248m/石川県加賀市山中温泉/登山・トレイルラン)
日本三大名湯と呼ばれる山中温泉。その中に鎮座するのが水無山です。なぜか登山ガイドには北側の医王寺からのコースしか書いてないのですが、この山は南側の岩場から登って北の源氏山から医王寺の向こうの白山神社へ、鶴仙渓を戻るルートがオススメです。
ここではそんな、アスレチック岩登りと気持ちいい稜線歩き、かつての山中温泉の栄華を感じさせられる展望台や施設跡を眺めながら白山神社の富士写ヶ岳に真っ直ぐ伸びる灯籠群を通り、鶴仙渓の優美な景色をフルコースで楽しめるルートを紹介します。
目次
水無山ルート概要とGPXダウンロード
南から登る理由は水無山は南側のほとんどが岩場で小石も浮いている為、濡れていた場合の下りは非常に危険なこと、また、反対に岩を登る観点では適度な傾斜でアスレチックの様で楽しいことからです。道も南側からのほうが迷いにくく、岩場を登った後はほぼフラットなのでトレイルランも楽しめます。
医王寺に降りずに白山神社まで足を伸ばすのは、水無山山頂の先に「源氏山」というかつての公園跡があり昔の栄華の雰囲気を感じられること、白山神社の富士写ヶ岳への見事な灯籠の景色、鶴仙渓に行く時に観光ルートを迂回できること、黒谷橋より鶴仙渓遊歩道をフルコースで眺められるのが理由です。
山中温泉 水無山登山の駐車場
駐車場はちょうど周回コースの中間地点、道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村からスタートします。施設内に温泉もあり、周回コースから帰ってきたらすぐに温泉ドボンも可能です。
道の駅から水無山登山口へ
しばらく国道364号の歩道を歩くと右手に「天狗岩」の看板と入り口があります、が、残念ながらこの道は途中で薮になってしまっているので手前しかは入れませんのでそのまま通過します。
左手には大聖寺川に架かる「平岩橋(昭和50年9月架)」が通り過ぎます。
やがて右手に山の凹みがありそこから北西方向へ林道が伸びています。ここが水無山の南側登山口となります。
林道を進む
水無山南側の谷に向かって林道は伸びます。轍があるので車も通れるのでしょう。主には林業用と跡からたどる鉄塔我谷線の巡視用です。
途中分岐があるので右手真っ直ぐに進んでください。
右側にはちらほら入り口らしき獣道が見え始めますが、ここではありませんのでそのまま直進してください。
鉄塔巡視路が正解
やがて矢印の立て札があります。かすれて見えませんが我谷線16番と書いてあるはずです。ここが正解の水無山南側登山口となります。
最初は急ですが、打ち付け階段がしっかり食い込んでいるので安全に登ることが出来ます。標高116メートルから209メートルまで100メートル弱、ジグザグに登っていきます。
我谷線16番鉄塔下へ
やがて鉄塔にたどり着きます。これが鉄塔我谷線16番です。片足だけが長い胴長のピエロの様な姿。プレートは左手前にあります。
鉄塔のプレートは番号の低い方向にあるので、ここから先に我谷線17番、18番と伸びていることになります。
ちなみに反対方向、16番から先は15本先には我谷発電所があり、我谷ダムからの導水で発電を行っています。
ここで急な登りは終了。道は稜線歩きの気持ちのいい展望コースになります。水無山は平坦部分が多いのでトレイルランにもオススメです。
我谷線17番鉄塔からの展望
やがて道の先に金属の足が。次の鉄塔です。前のが16番でしたので17番のはずです。
プレート確認。正解の17番です。鉄塔の周りは切り開かれており眺めがよくなってきています。
東は温泉街。その奥には関西電力の北陸幹線・大黒部幹線が仲良く並走しています。その上は北陸電力の加賀東金津線。
登ってきた背後に見える形の良い山が富士写ヶ岳です。実は横から見るとこのようには見えないのですが、山中温泉側から見るととてもきれいな三角形に見え美しいです。
さて、17番の先の道を進みましょう。足の間に道があります。ここから道は土から岩肌になり小石が浮いてきます。登りだと問題ありませんが下りだと危ないのでそれが南側ルートをオススメする理由です。
岩のアスレチックへ
巡視路18番分岐、そしてここから巨石が目立ち始めます。右へ行くと巡視路18番方向ですが、左側の岩を登ってどんどん進んでみましょう。
ロープなどはありませんが傾斜は緩いので簡単に登れます。念の為、三点支持は忘れずに。
途中、南側に岩が突き出た箇所があります。先に立つのはちょっと肝試しかもしれません。先程鉄塔から見えた富士写ヶ岳がきれいにみえます。
ここもルートです。3点支持でぐいぐい登っていきましょう。コケが多いので濡れている場合は慎重登れば安全で楽しいです。なお下りは絶対にオススメしません
天狗岩へ
やがて岩のジムは一枚岩の橋へと繋がります。右は落ちても引っかかるところがないのでなかなかスリリングで足がすくみます。
左は木が多いので、万が一滑っても被害が少ない様に気持ち左側よりに進めば難なくパス出来ます。
ここから右手に見えるのが天狗岩です。こちらからだとなんだかモアイに見えます。奥に見える2つ頭が鞍掛山です。先程から見える富士写ヶ岳と鞍掛山、そして後で展望台から見える大日山で加南三山と呼ばれます。
ルートの岩の先にはまるで烏帽子のようなポッコリ岩が。簡単に登れます。
ぽっこり岩に登ると先程の天狗岩の手前にもう一枚、岩壁があるのがわかります。天狗岩は3つあり、右から天狗岩・学問の神様岩・そして自然岩(今通ってきた所)となります。すべて見るとご利益があるとのこと。おめでとうございます。
岩場を抜けて稜線歩き
岩のアスレチックを楽しんだ後は快適な稜線歩きです。トレイルランにも好適な気持ちのいい山歩きです。
距離もそこそこあります。
途中で施設がありそこまで北側から低圧電線が来ているようです。ここ、水無山はかつては山中温泉のレジャー施設であり、ロープウェイや遊園地まで在ったそうです。ここからはそんな栄華の時代の名残を感じながらの散策となります。
水無山の巨大展望台へ
突如コンクリートの巨大建物が見えます。水無山展望台です。多分県内の山の展望台で一番巨大なのではないでしょうか。
入り口の階段は2箇所にあり、どうみても登山用の展望台にしては立派すぎます。
それもそのはず、ここ水無山展望台はかつては麓からのロープウェイでアクセスできる複合レジャー施設だったのです。いまでも看板やトイレなどかつての雰囲気を感じ取ることが出来ます。
展望台屋上は八角形になっており中央には柱と4つの石積み。なにかストーンヘンジのような意味ありげな作りです。中央の柱にはかつては電灯用の鉄塔が建てられており、スポンサーであったToshibaの文字が掲げられていました。下の階に転がっていた「東」の文字は「東芝テレビ」の東です。
八角形の展望台からの眺めは素晴らしいとしかいい様のない大パノラマです。この標高の山だと樹木が高く、大抵は登っても展望はそれほどでは無かったりするのですが、この巨大展望台の高さは、周りの樹木のそれを簡単に上回っています。
右手から富士写ヶ岳、左に大日山、間に白山御前峰、そしてその左奥には大門奈良笈ヶ岳の白山尾根群と手前に論理的に見える範囲の山はすべて見ることができます。
鞍掛山方向です。奥に見える陰は烏帽子口三方の稜線、さらに左手前には高野山揚原山観音山の能美3山が間近に見えます。
加賀市内の方向、大聖寺観音も見えました。もちろん柴山潟や海まではっきりと目に入ります。
今では見る陰もありませんが、当時はガラス張りで1階に食堂売店、2階にゲームコーナーがありました。2つの階段があるのもそこへのアクセスの関係なのでしょう。
さて、そろそろ登山道に戻りましょう。道は真っ直ぐです。
展望台を過ぎて
林道が続きます。途中で温泉街へ至ル案内があるので見落とさない様に右折。
ここからは再び登山道らしくなります。(2019年現在、倒木があり為、低圧送電線経路に迷い込みそうになりますが、送電線経路の左に本ルートがありますのですぐに戻りましょう)
中間地点の札。何故かここだけ英語表記が併記されています。
我谷線29番と変形5又路
やがて登山道の眼の前が開けて祠と鉄塔の足が見えます。
鉄塔は我谷線29番。最後に見たのが17番なので間に11本もルート右手を通ってきたことになります。
ここは変形5又路。奥の道は2つで一つは「医王寺」に降りるルート。もう一つは「源氏山」へ縦走し白山神社に向かうルートです。
ここでは源氏山への道を行きます。(もし医王寺に降りた場合は、国道下をくぐって直進で小才橋から鶴仙渓に入れます)
源氏山へ
鉄塔までは下り道でしたがここからはフラット。気持ちよく進めます。
謎の看板 民話と伝説のトリム。かつての遊園地か公園だったのでしょうか。
すぐ先に祠と灯籠。お地蔵様かと思ったら観音様でした。
やがて開けた広場に。奥は3メートルほどの崖で左手からスロープ状に降りれます。が、中央の木をよく見るとロープがぶら下がっています。その先は合流。高度をみるとこのあたりが源氏山の様です。
ロープ側に挑戦してみました。子供の遊具のようなかなか楽しいです。
スポーツ広場から
やがてスポーツ広場に出ます。結構広い台地になっています。
中央には意味ありげな高台。高さ的には山頂というわけでは無さそうですが、道は高台の真ん中を突っ切ってます。
スポーツ広場は現状もタイヤなどが埋めてあり子供連れでも遊べる感じの雰囲気でした。ピクニックなんかもよいかもしれません。
さて、ここから国土地理院地図にはないですが、右手に降りる道があります。多少蛇行して林道へ合流
林道は轍があり車も通れます。左へ行くと先程の展望台に繋がります。ここでは右、山中温泉白山神社へ向かいます。
緑の小道を進みます。これで水無山とはお別れです。さて次の鶴仙渓へ向かいましょう。
温泉街を抜けて
丁度、林道は旅館白雲閣の横に出ます。そのまま少し舗装路を直進。
用水があるのでそこを右に曲がると白山神社の鳥居が見えてきます。
白山神社から芭蕉の道へ
山中温泉白山神社の見事な灯籠群。丁度真ん中に富士写ヶ岳が見えるのが粋ですね。その真中を通って鳥居を抜けます。
鳥居を抜けて国道を渡ると温泉街への階段があるのでそこを下降します。
階段はジグザグで、下に降りたら道はずっとまっすぐ。
このあたりまで来ると温泉街の観光客の喧騒も少なく静かな住宅地の様相です。
石畳になり右には芭蕉の道の案内が。
黒谷橋から鶴仙渓遊歩道
芭蕉の道はゆっくりと大聖寺川へと下降していきます。右手に見えるのが黒谷橋。
この黒谷橋、昭和10年に石橋として建て替えられたもので、下から見ると見事なアーチになっています。その昔は木造で「那谷道」として那谷寺への参道だったとか。横には芭蕉の句が掘りこまれています。
鶴仙渓遊歩道は橋を渡ってすぐ右手にあります。
ここからが1.3キロの山中温泉の定番の景勝地、鶴仙渓遊歩道です。
カフェがありますので休憩してもいいでしょう。前の階段を降りてスタートです。建物は芭蕉堂といいます。芭蕉を祀ったお堂で、中には芭蕉の像が安置されています。
鶴仙渓は渓流奇石の他にも大聖寺川に架かる様々な形の橋が又見どころです。小才橋はそのなかでも一番小さな橋。以前は洪水で流された経緯がありますが今は復活しています。情緒を感じさせてくれるこじんまりとした橋です。
やがて左手に階段が。真っ直ぐ川沿いに進みましょう。(左に上がるとあやとり橋の袂に出ますのでそちらに寄り道しても大丈夫です、あとで合流できます)
これがあやとり橋。真っ赤なS字カーブがジェットコースターを連想させられますが、「道明が淵」の龍がモチーフなのだとか。草月流家元である勅使河原宏氏が「鶴仙渓を活ける」のコンセプトでデザインしました。
道明が淵はあやとり橋のすぐ下。龍が住み着いていて道名と言う名の僧が退治したという言い伝えです。
この先の川床は、初夏の季節には真っ赤な笠が並ぶ休憩所になりスイーツも楽しめます。
山中温泉大聖寺川南側集落へ
途中で脇道があるのでそこを左に入ります。
今までとは雰囲気がガラリと変わり再び登山道へ。ここは山中温泉大聖寺川南側集落へのショートカットとなります。
やがて街並みの石畳が見えてきます。
全体的に傾斜している道、苔むした石壁を眺めながら付きあたりを左に曲がっていきます。(ちなみに右でこおろぎ橋なので興味がある方はそちらを渡って道の駅に戻ってもOKです)
無限庵の看板が見えたら右の入口方向へ右折します。無限庵は加賀藩の武家屋敷跡の庭園です。時間があれば立ち寄ってもいいでしょう。
突き当りを再び右折。
無限庵の赤い土壁を横に山中温泉の外れへと向かいます。
道の駅に帰着
やがて変形十字路に出るので真ん中の道を右手沿いに進みます。
ここまで来ると、水無山の天狗岩が見え始めます。先程まであの上にいましたね。
歩行者用の橋、「かじかはし」への入り口です。右に入ると階段が川底に向かって降りていっています。
ジグザグに降りて、かじか橋を渡ればゴールの道の駅の中にたどり着きます。
かじか橋からも天狗岩が見えました。「おつかれさん」と笑っているように見えます。さて温泉はどこにしましょう?