山中温泉立杉峠周回サイクリングコース/我谷九谷線鉄塔群と枯淵変電所を探訪(33km+326m/石川県加賀市山中温泉より)

立杉峠は山中温泉の東側に位置し加賀東谷と呼ばれる国の重要伝統的建造物群保存地区を通る景観の良い道です。ここでは山中温泉から出発して我谷・九谷ダムから立杉峠へと周回できるサイクリングルートを沿線の我谷九谷線鉄塔群と枯淵変電所の解説も交えながら紹介します。

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駐車場

道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村

山中温泉 道の駅 湯けむり健康村からスタートします。

「しらさぎ」前に自転車ハンガーもあり

自転車ハンガーもあり拠点としてオススメの場所です。温泉施設もあるので帰ってきたら湯船にザブンです。

スタート

道の駅から国道364号を左でスタート

左側のスロープを上がり左折で国道364号からスタートです。まずは我谷ダムに向かいます。

大聖寺川沿いを走る

国道364号は2車線で歩道付きの道。左側には大聖寺川が鶴仙渓に向かって流れています。

三系統クロスポイント

三系統クロスポイント加賀東金津線131(黄)/北陸幹線249(赤)/大黒部幹線188(橙)

左手の山の上に3つ鉄塔が寄っています。これは北陸電力 加賀東金津線131番と関西電力北陸幹線259番、大黒部幹線188番が丁度交差している場所です。北陸幹線と大黒部幹線は山の向こうへ伸びているのがわかります。その先が、今向かっている我谷ダムです。

加賀東金津線と我谷線

右手 我谷線5番(茶)から若番へ 奥には加賀東金津線(黄)の大聖寺川横断ポイント

先程から右手を走っているのが1回線(3本1組)の我谷線。温泉街の西側、水無山を伝って奥の山中変電所から番号を下げながら今から通る新我谷発電所まで続きます。今5番なのであと4本先に発電所があります。

加賀東金津線(黄)132・133の下を通過(黄)。右は我谷線(茶)2番

上を渡っているのは加賀東金津線で132番と133番の下を通過します。加賀東金津線は後ほど山中温泉街に戻る時に手前の116番と117番の下を通過します。

新我谷発電所

我谷線(茶)と枯淵線(青)の併架ポイント手前下の新我谷発電所に引き留め

やがて右手の我谷線は向こうから来た別の送電線、枯淵線と1つの鉄塔にまとまって足元に降ります。その先が新我谷発電所です。

枯淵線はこの先の枯淵変電所からここまで来ています。枯淵変電所は後ほど前を通ります。

我谷ダムへ

真っ赤なシェッドをくぐって我谷ダムへ

目にも鮮やかなまっかなシェッド。長いですが夏場は涼しく心地よく感じます。これを抜けると我谷ダムです。

シェッドを抜けたら我谷ダムが視界に広がる。直進県道153号

シェッドから視界が一気に広がります。眼の前は我谷ダムのダム湖、ふじしゃのうみです。右は堤の上を通る国道。今回は真っ直ぐ、県道153号のダム湖畔沿いに入ります。

我谷ダム湖畔(富士写湖)

我谷ダムのスペックは堤高56.5メートル、堤長126メートル、総貯水量1010万立方メートル。これから横を通る取水口からの導水管の先は先程の新我谷発電所になります。上部の非常用クレストは2門でラジアルゲート付き、常用洪水吐のコンジットも2門でこちらはスキージャンプと称されている独特の形です。

富士写湖畔の道

北陸幹線251・252が我谷ダムを横断

富士写湖の向こう側が加南3山の一つ、富士写ヶ岳となります。先程の北陸幹線と大黒部幹線の関西電力送電線が湖を横断しています。

向こう側の北陸幹線は252番、こちらは251番です。先程のクロスポイントは249番だったので間に1本あるだけということになります。

続いて大黒部幹線189・190が横断

大黒部幹線。向こう側が190番なのでこちらは189番。先程見たのは188番なのであのすぐ続きということですね。

湖畔沿いの静かな道。フラットで走りやすい

富士写湖から九谷ダム、そしてこの先の中継ポイントある九谷磁器窯跡まではとてもフラットな道。のんびりポタリングに最適な景観の良い湖畔路です。

新我谷発電所取水口から富士写ヶ岳登山口へ

新我谷発電所取水口。ここから先程の新我谷発電所まで導水管が掘られている

すぐに右手に門のような施設が見えます。これが先程足元に見えた新我谷発電所の取水口となります。ここからトンネルが掘られ発電所のタービンを回すわけです。

富士写ヶ岳登山口は真っ赤な橋から。人気のある加南3山の一つ

真っ赤な吊橋は富士写ヶ岳登山口です。人気のある山で付近には登山客の車がよく駐車されています。

我谷ダム傍らの周辺案内図(クリックで拡大)

我谷ダム傍らには周辺案内図があります。活字っぽくない、なかなかレトロな案内図で味がありますね。向こう側にも遊歩道があり徒歩なら一周できそうです。

夏場はシェッドが涼しい

ここにもシェッドがあります。明るくて涼しい簡易トンネルですが、冬場に雪が多い証拠ですね。

枯淵変電所

枯淵変電所到着。九谷線と枯淵線が引き留められている

やがて変電所に到着します。左には鉄塔が一つで2回線(3かける2で6本)引き留められています。ゲートに系統名があり枯淵線と九谷線と確認できます。

枯淵線(青)は先程の新我谷発電所の1番鉄塔へ九谷線(紫)はここ25番から九谷磁気窯跡の6番までたどる

枯淵線も九谷線もそれぞれ1回線で3本1組なので、この鉄塔の先で南北に分かれていきます。枯淵線は先程、新我谷発電所から出ているのを見ましたね。

ここから中継地点である九谷磁器窯跡までは九谷線の方を追いかける形になります。眼の前のは25番、目的地は6番です。覚えておきましょう。

枯淵変電所反対側にも変圧器があった

実は変電所と書いてありますが、上流から導水管も来ています。つまり発電機能があるということです。取水口は九谷磁器窯跡手前あたりになります。

枯淵変電所より湖畔反対側の鉄塔。九谷線23と24。22と23はかなり長距離張間

反対側の湖畔にはこの辺りでは珍しい烏帽子形の鉄塔といつもの鉄塔が並んで見えます。これが枯淵変電所から出た九谷線が回り込んで湖を横断している送電線を受け止めている九谷線23番です。間が長距離なので、耐久性の高い鉄塔を使っているのでしょう。

丘の谷橋(平成8)より。九谷線が再び長距離ジャンプ

しばらく進むと丘の谷橋に差し掛かります。先程の九谷線はさらに谷間をジャンプして九谷ダムの方向へ飛んで行っています。

九谷ダムへ

丘の谷橋からは九谷ダムの堤が見える。クレストゲート数が圧巻

丘の谷橋の右手には九谷ダムの巨大な堤が見えます。上に連続してい空いているのが非常用吐水口でクレストゲートといいます。先程の我谷ダムは開閉出来るラジアルゲートが搭載されていましたが、九谷ダムはそれがありません。これを自由越流式ゲートといいます。その数はなんと13門!その下には常用吐水口であるコンジットゲートとオリフィスゲートが1門ずつ見えます。

スペックは堤高75.8メートル、堤長280メートル、総貯水量2490万立方メートルと我谷ダムの倍の貯水量がある大きなダムです。

ダム湖には「五彩湖ごさいのうみ」と素敵な名前が付けられています。九谷焼の特徴である五彩にちなんだ名前なのだとか。

枯淵1号トンネル207m(平成7)

九谷ダムへのトンネルが枯淵1号トンネル207mです。

杉谷橋(平成9)をはさみ枯淵2号トンネル199m(平成9)

名の通り枯淵トンネルには2号トンネルもあり、間には杉谷橋が架かっています。

富士写ヶ岳の東側が見えてきた。既に富士の形はしていない

トンネルを抜けて振り返ると富士写ヶ岳が見えました。山中温泉からと違い、こちらから見ると富士の形はしていないのがわかります。そういえば金沢の大門山も加賀富士ですが角度に寄っては三角出ないのとにています。富士山はどこから見てもあの形だからすごいですね。

九谷ダム北側の名称不明1番鉄塔が堤下の新枯淵発電所へ。九谷線21番より分岐

九谷ダムに到着しました。トイレもあります。振り返ると1番鉄塔が。九谷線ではなさそうです。これはこの下にある新枯淵発電所への支線(分岐した線)です。分岐ポイントはトンネルの上にあった九谷線21番。

想郷公園。案内図と展望あずま屋 水飲み場が嬉しい

少し先には想郷公園という休憩所があります。水飲み場もあるのがうれしいですね。

九谷ダム案内図(クリックで拡大)

管理事務所と公園の横には案内図が並びます。丁度今回のルートが俯瞰できます。

九谷ダム湖の下の旧集落図(クリックで拡大)

ダム湖の底に沈んだ旧集落の図です。この巨大なダムで上流の村がほぼ全てなくなりました。現在ではこれから行く「加賀東谷」の4村が残されたのみとなります。

九谷ダム周辺案内図(クリックで拡大)

公園側周辺の案内図は現代風でとても詳細に記述されています。今回は古九谷窯跡で折れて山中温泉に戻りますが、その先には滝があるみたいです。一度見に行きたいですね。

廃村上の橋を越えて

先を進む。九谷線16番。あと10本

さて先に進みましょう。九谷線の番号は16番。九谷磁器窯跡の6番まであと10本です。

苅谷橋(平成2年)から見える九谷線14番

苅谷橋はから一本飛ばして14番が確認できます。

シェッド前から見えるのが九谷線11番

再びシェッド。奥に見える九谷線は11番です。

小杉橋(昭和63)より九谷線10番

小杉橋はこの辺りでは珍しいの昭和の橋。それまでは他の橋が無かったということでかなりの僻地だったことが忍ばれます。九谷ダムは2006年、平成18年に完成したのでその随分前からあったということですね。ちなみに九谷ダムの着工は昭和45年。なんと36年も費やして作られたダムです。

九谷線10番と9番の下をくぐる

ここで九谷線が五彩湖を横断します。先程、小杉橋から見えた10番と9番です。

生水橋(平成1)より九谷線8番。袂のデザインが水色で爽やか

橋の名前、小杉や生水は元々ダムに沈んだ村の名前です。生水橋の袂にはきれいな水色の意匠があり爽やかな印象。

雨量観測所。奥は九谷線7と6番。6番の下には九谷磁気窯跡

やがて右手に駐車場が見えます。中央にはアンテナが付いた九谷雨量観測所。左奥には九谷線の7番と・・・6番です!あの下に中継地点てある九谷磁気窯跡があるというわけですね。

雨量観測所の裏には登山口と伝陶石採掘地(17世紀)が

駐車場のうらには菅倉山登山口と伝陶石採掘地があります。伝陶石採掘地は17世紀のもので、九谷焼の原料となる陶石が採取されていた場所です。菅倉山は923.8メートルと富士写ヶ岳の942メートルとほぼ同じ高さの山。富士写ヶ岳とは福井県側の火燈山とともに県境の稜線で繋がった兄弟のような山です。

九谷磁気窯跡休憩所。トイレあり

九谷磁気窯跡休憩所に到着です。トイレや九谷磁器についての資料があります。江戸時代に県内で初めて磁器生産が行われた場所です。

古九谷大橋を渡り立杉峠へ

ここから県道は古九谷大橋通り、北の立杉峠に向かいます。たどってきた九谷線は6番から5本先で九谷発電所に引き留められています。九谷発電所へ取水は大聖寺川源流の真砂町の辺りになります。

巨大芋虫のような九谷の窯跡

橋の向こうには巨大芋虫が。登り窯といい、斜面を利用した燃焼ガスの対流をさせる設計の窯なのだそうです。古九谷は有田、姫谷とともに近世初期の三大色絵磁器の一つとされています。九谷焼窯跡展示館があります。

立杉峠へ

ここからは杉木川沿いを登っていく

さて古九谷大橋を渡るとここからは峠道です。標高216メートルから峠のピーク403メートルまで軽い上り道が続きます。

滝があった

途中の滝状の落差です。横を流れる川は杉木川といい、小大日山から北方向を巻いてここに降りてきています。しばらく進むと、江戸時代から炭役とされてきた加賀東谷の4集落の1つ、杉木集落に出ます。

杉水名水

杉木に入ると神社前に杉谷名水がありますのでぜひ休憩に立ち寄りましょう。地下50メートルから組み上げた水はとても冷たくておいしいです。

県民の森到着トイレあり

杉谷すぐ先には県民の森。ここもトイレがあります。道は左の坂から続きます。もともとは上新保村集落だった場所を利用したものです。

斜度がやや増してくる

県民の森をすぎるとやや斜度が増してきます。ペダルを踏みしめていきましょう。

時代を感じさせる看板

とちゅう時代を感じさせる看板がありました。たしかに昔はあちこちに空き缶があった印象がありますね。

立杉峠ピーク立杉見晴台

標高409m地点。立杉見晴台から鞍掛山を望む

標高409メートル。古九谷大橋から200メートル弱の地点で峠はピークを向かえます。眼前には馬の鞍の形をした「鞍掛山」が鎮座しています。先程の富士写ヶ岳とともに加南三山の1つとして数えられます。今からあの鞍掛山の左手を通って更に左のやまの向こう、山中温泉街へと戻ります。

S字とヘアピンが連続する峠道を下降。気持ちいい

ここからはS字カーブとヘアピンが連続する気持ちのいい下りワインディング。スピード注意。

今立から荒谷へ

加賀東谷今立集落到着。自販機の前には自転車ハンガーが

あっというまに峠を下ると再び集落に。加賀東谷4集落の一つ、今立です。ここには自販機があり自転車ハンガーも設置されており休憩をとるのにちょうどよい場所があります。

加賀東谷荒谷町。ここだけ道が細い。右手は動橋川

右に並走する川は動橋川。やがて鞍掛山の南の集落、荒谷に入ります。ここも加賀東谷4集落の一つとなります。

鞍掛山登山口への橋手前の看板

荒川には動橋川を渡る橋があり、そこから鶴ヶ滝や鞍掛山登山口へアクセスできます。蟹ノ目山(がんのめやま)は、ここから南の689mの山です。

露出した岩肌は横の鞍掛山から南西に続く尾根の一部

右手の杉林の間からは時折目立つ露出した岩肌が見え隠れします。鞍掛山から南西に続く尾根の一部の様です。

北電・関電275kV2系統

加賀東金津線116/117の下を通過

やがて目の前には送電線が横断しています。加賀東金津線116番と117番です。

加賀東金津線118番は山を越えて山中温泉街へ(先程のクロスポイントは131番)

先程のクロスポイントの加賀東金津線は131番だったのでここから13本先ということになります。この山の先に山中温泉街があります。

大黒部幹線170番が見えてくる

そして次の送電線、今度は関西電力大黒部幹線です。先程我谷ダムで通過したのを思い出します。

大黒部幹線171番との下をくぐる。172は同じく温泉街へ(先程のクロスポイントは181番)

3系統のクロスポイントは181番だったので9本先。どうも東金津線よりもピッチが広そうです。

大黒部幹線の真下を左折。たきの里の看板が目印

さて、しばらく走った動橋川沿いの道ともこれでお別れです。大黒部幹線送電線の下、たきの里の看板を左折して山中温泉の入り口である四十九院へ向かいましょう。

山中温泉街に並走していく加賀東金津線(黄)大黒部幹線(茶)

左手には先程の二系統が並走して山の中に入っていっています。この加賀東金津線と大黒部幹線の2系統、北陸電力と関西電力で管轄が違うのですが、どちらも275kVでぱっと見にはまったく見分けがつかない兄弟のような系統です。この様に同じ場所で見かけたら基本的に大黒部幹線の方が富山県南砺市城端発で、加賀東金津線は加賀変電所発で代替番号が50番位大黒部幹線の方が多いのでそれでだいたいの見分けは可能です。

四十九院トンネルを抜けて

県道39号にでて突き当りを左

農道のようなのどかな田園風景を抜けると県道39号へ突き当り。ここを左に曲がります。トンネル手前にはたこ焼き屋さんや自販機があります。

四十九院トンネル1436メートル

山中温泉へ抜ける四十九院トンネルは1436メートルと本日で一番長いトンネルとなります。

長距離トンネルなので自転車は右側の歩道を利用しよう

右側には段差がついた広い歩道がありますので、自転車でも無理せずにそちらを通ることをおすすめします。非常口マークでトンネル内の位置を把握できます。

山中温泉街へ

山中温泉街に帰ってきた

トンネルを抜けると山中温泉街です。観光地ということもあり山の中から戻ってくると賑やかさが感じられます。ここからはちょっと複雑なので写真通りに進んでください。

白鷺大橋を渡りすぐ左折

まず白崎大橋を渡りすぐ左折します。

こおろぎ橋方向へクランク

ここから2回クランク。1つ目は案内板こおろぎ橋方向へ。

銀行前と菊の湯前を再度クランク

2つ目は銀行前から山中温泉総湯前です。ここまでくれば迷うことはないでしょう。

観光客の喧騒の温泉街を走る。右手には最初の我谷線が

観光客が歩く山中温泉温泉のメインストリートを駆け抜けます。右手には最初にたどった我谷線が水無山沿いを並走しています。

道の駅に帰着

やがて見覚えのある道の駅に到着です。温泉がまってますよ!

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