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北陸幹線の寄港地 北陸電力松岡変電所が面白い(福井県吉田郡永平寺町)


昭和4年に昭和電力が建設した富山笹津と大阪八尾を結ぶ北陸送電幹線(こう長296km)。現在は変遷を得て富山笹津から滋賀県高島までの鉄塔510本111.493mが関西電力管轄で北陸幹線として管理されています。

北陸でも非常に古い長距離送電線で、また北陸電力ではなく関西電力資産であることから、その形はとてもユニーク。鉄塔探訪に興味が出てくると、とても存在感のある存在に感じて来ます。

そんな北陸幹線、部分的には3つに分けられ北東側から「北陸幹線(笹)」「北陸幹線(福)」「北陸幹線(松)」。北東側から番号が増えていき、(福)と(笹)の境目の福光で一旦番号がリセットされます。この位置はかつての福光開閉所の名残で今は敷地があるだけです。しかし、(福)と(松)の間には現在も巨大は変電所が存在します。それが今回紹介する福井県吉田郡永平寺町の松岡変電所です。

目次

  1. 加賀から北陸幹線(福)を追って
  2. 松岡変電所のブロック配置
  3. 関西電力 松岡保線所ブロック
    1. 関西電力 市荒川線(接続図濃赤)
    2. 関西電力 北陸幹線(松)(接続図赤)
  4. 北陸電力 松岡変電所南側154kVブロック
    1. 関電北電連絡部(接続図緑)
    2. 迫力の荒土線1番(77kV)(接続図明紫)
    3. 松岡変電所 南側の交差接続
    4. 成和線(初番)(接続図暗緑)と九頭龍幹線(最終)(接続図暗紫)
    5. 福井幹線1番(接続図山吹色)
  5. 松岡変電所北西77kVブロック
    1. 松岡変電所のドラキュラ鉄塔
    2. 開発線(接続図群青色)
    3. 松岡連絡線と金津線(接続図黄色と黄土色)
    4. 異型鉄塔の春江線(接続図ピンク色)
  6. まとめと接続図
  7. 参考リンク
  8. コメント

加賀から北陸幹線(福)を追って

福井電力系統図と松岡変電所

石川県加賀市から山中温泉を通って福井県吉田郡永平寺町に抜ける道、国道364号沿いに北陸幹線(福)は番号を上げて行きます。並走する主な送電系統は加賀東金津線・大黒部幹線・加賀幹線。それぞれ似たような経路を走っているので、この国道364号は鉄塔探訪好きには飽きることのない面白い道です。

北陸幹線はその中でも特に古いので見分けるのはとても簡単です。単導体(1本1組線)で2回線(3x2本)が2つの矩形鉄塔に分かれていたら、まず北陸幹線と思えばいいでしょう。鉄塔が別れて無くてもでも一番下の腕が一番長ければまず間違いなく北陸幹線です。(ちなみに他の幹線は4導体(4本一組線)だと500kVの加賀幹線、2導体だと加賀東金津線か大黒部幹線のどちらかなのですがこの2つは同じ275kVで形も似て見分けがなかなか難しいです。)

国道364号を南下すると加賀東金津線は我谷ダムの辺りNo131とNo132の間で北陸幹線と交差して東から西の方にそれて行きます。

福井県丸岡町の竹田地区盆地の北陸幹線269-1

竹田地区の盆地に入ると、のいち番号の鉄塔がありました。

のいち番号表記は北陸幹線269外1号

表記は北陸幹線269外1号。外の字がレトロさを感じさせてくれます。

大黒部幹線は坂井市の山を抜けるに従い南側へ、北陸幹線はそのまま国道364号沿いに一緒に山を降ります。山を降りる時に東西に275kV線をくぐります。新福井変電所と越前変電所を結ぶ「越前線」です。石川県民にしたら旅行先で初めて現地人に会った気分になります。ハロー。

さて、坂井市丸岡からは平野部に入ります。北陸幹線は不幸にも石川県内ではほぼ平野部を通らないので、平らに並んでるだけで新鮮です。(ちなみに富山福光周辺では平野部を通ります、石川県でも白山市鶴来周辺は一部平坦)

丸岡を抜け南下。福井県最大の河川、九頭竜川が近づいてきます。北陸幹線(福)はなんとぴったり300番が最終鉄塔となります。

北陸幹線(福)296番 いい感じのかすれ具合

山間部では甲乙別れることが多かった北陸幹線も平野部では1本2回線が主になります。

北陸幹線(福)296番

ここで296番。もうすぐです。送電線の先には巨大な赤白鉄塔が。そして北陸幹線がそれに繋がっています!

多分唯一の北陸幹線赤白鉄塔

おそらく510本の北陸幹線鉄塔の中でも唯一の赤白鉄塔ではないでしょうか。巨大な九頭竜川を横断する為でしょう。ちなみに赤白は60m以上の鉄塔にペイントされます。一般的に鉄塔は古いものほど低く、あとで作られたものは交差時に上を通すため高く設計されます。なので昭和4年ものの北陸幹線は154kVとはいえ背が高いものは珍しいというわけです。

その先には・・見えました!松岡変電所です。

九頭竜川の先の松岡変電所

遠くから見るだけでも異型の鉄塔がちらほら見え、気持ちが高ぶってきます。

北陸幹線(福)298番?

ちなみに赤白の北陸幹線の上を見ると298番とありました。

変電所との間には鉄塔が・・・1つ!?。北陸幹線(福)は300番までのはずですが。

北陸幹線(福)最終鉄塔

これが北陸幹線(福)の松岡変電所への最終鉄塔です。

北陸幹線(福)300番銘板

確かに300番とあります。どうやら299番は欠番の様ですね。

松岡変電所のブロック配置

松岡変電所のブロック配置

松岡変電所は大きく分けて3つのエリアに分かれています。北東は関西電力エリア。ここに先の北陸幹線が接続されます。

西側は北陸電力のエリアとなり、それぞれ北は77kV系、南は154kV系に分かれています。航空写真で見ると間に変圧器が確認出来ます。

関西電力側の施設の名称は松岡保線所

関西電力側の設備は「松岡保線所」という名称です。変電をしていないのでこの様な名前なのでしょう。ちなみに北の北陸幹線(福)は福井県内でも関西電力の庄川の部門が、南の北陸幹線(松)は敦賀の部門が管轄となります。

北陸電力株式会社 松岡変電所

北側の住宅街の道路を走ると北陸電力側の入り口もありました。こちらは「松岡変電所」となっています。

北陸電力 松岡変電所/関西電力 松岡保線所

関西電力 松岡保線所ブロック

関西電力 市荒川線(接続図濃赤)

関西電力市荒川線

まず東側で目立つのは南東側のスーパーマーケットの駐車場にドンと建っているジャミラ手塔でしょう。積雪地域でオフセット(腕金の長さ違い)が中央腕金に入っているのでまるでベトコン帽のカカシです。

これが関西電力市荒川線の最終鉄塔です。両手がありますが、1回線を片持しています。

市荒川線51番銘板 昭和19年7月

51番とありました。資料には50本とあるので欠番があるのかも知れません。

市荒川線は東の九頭竜川上流の市荒川発電所に接続されています。こう長はわずか13.532mの至近距離です。

関西電力 北陸幹線(松)(接続図赤)

同じく関西電力松岡保線所よ南側より北陸幹線の、今度は(松)が南に伸びているのが見えます。

北陸幹線(松)1番鉄塔

北側の北陸幹線(福)と同じくシングルテーパー(支柱が真っ直ぐ)の下腕の長い(福)と同じ設計の鉄塔でホッとします。

北陸幹線(松)1番鉄塔銘板

プレートも同じく昭和4年7月。風合いがたまらなくレジェンドですが、鉄塔自身は綺麗に再塗装されていそうです。

北陸自動車道沿いに直進する北陸幹線

松岡より南方ではこの北陸幹線(松)が北陸自動車道沿いの見事に直進を見ることができます。途中、成和線福井幹線、その先では京福支線とレガシー鉄塔同士で並走。その様を目の当たりにすると胸が熱くなります。

北陸電力 松岡変電所南側154kVブロック

関電北電連絡部(接続図緑)

関電と北電の連絡鉄塔が2本

さて次は北陸電力側のブロックを見ていきましょう。その前に関西電力ブロックから敷地内に1回線3本腕鉄塔が2本東西に並んでいるのがわかります。

接続先は北陸電力側の154kVブロック。ここで相互に融通させるような設計にっているのでしょう。鉄塔に銘板や番号札はありませんでした。

迫力の荒土線1番(77kV)(接続図明紫)

荒土線1番鉄塔

さて、場所は154kVブロックですが、上の連絡部の間にある一際目立つ引き留め鉄塔。荒土線1番鉄塔です。

荒土線はこのまま東に向かい、九頭竜川上流、勝山駅の北西の荒土変電所から配電となります。経路的には先程の関西電力市荒川線と似ていますね。永平寺から勝山へ九頭竜川を上る時に右手に並走していたら、この荒土線か市荒川線、もしくは九頭竜幹線と思えばいいでしょう。(途中南北へは大黒部幹線・越前線・加賀幹線の順に交差しますのでそこは紛らわしいですが)

経路的に南側に配置したかったのでしょう、北側の77kVブロックから(変電所内にしては)長距離の経間で引き留めています。しかも90度の角度鉄塔でもある必要があり、この様な独特の設計になったものと思われます。

松岡変電所の見どころの鉄塔の1つです。

松岡変電所 南側の交差接続

複雑な南側の交差接続

さて、南側の田園に目をやると4回線の交差鉄塔がいくつも見えます。交差鉄塔は併架鉄塔の一種で送電系統を交差させるために併架させている鉄塔です。

関わっている送電系統は3つ。154kVブロックからの福井幹線(接続図オレンジ)、同じく154kVからの九頭竜幹線(接続図暗紫)、そして77kVブロックからの成和線(接続図暗緑)です。

併架交差している場合は低圧の系統が下に懸架されていることが多いので、2つの鉄塔の下側に77kVの成和線が連続して交差しているのがわかります。

成和線(初番)(接続図暗緑)と九頭龍幹線(最終)(接続図暗紫)

九頭竜幹線最終と成和線の併架鉄塔

変電所側に目を戻しましょう。154kVゲートに向かって右手が九頭竜幹線です。下に併架されているのが成和線。その奥には・・・なんと変電所内に成和線がもう一本あります。たしかに77kVブロックは北側なのでこちら南側には距離がありますからね。

それではこの鉄塔、成和線の2番なのでしょうか?よく見えなかったので、先程の交差写真の田園の中の左側の鉄塔まで行って番数を見ると・・・そこ書かれていたのは「九頭竜線98番」「成和線2番」。ということは写真の鉄塔の上段は九頭竜線99番で間違い無さそうですが、下のは成和線なんになるのでしょう?? 変電所内も含めて鉄塔は2本あります。

よく見ると農道を通ってなんとか番号を確認できそうな所まで近づけそうなので頑張って行ってみます。するとそこに書かれていたのは・・・・。

成和線1-1

「1-1」なるほど、「のいち番号」というわけですね。ということは変電所内に見えるのは必然的に成和線1番となります。すっきりしました。

九頭竜線最終鉄塔銘板1985年11月

ちなみに九頭竜線最終鉄塔は予想通り99番でした。先程の北陸幹線が丁度300番で終わっていたりと粋な鉄塔数ですね。

ちなみに九頭竜幹線はその名の通り九頭竜川を上り大野市の西勝原第3発電所に、成和線は福井市内の成和変電所(配電用)に接続されます。

福井幹線1番(接続図山吹色)

福井幹線1番

向かって左手、西側の154kV引き込みに繋がっているのが福井幹線1番です。

こちらは容易に銘板まで見れました。間違いなく1番鉄塔でした。

福井幹線1番銘板 1967年5月

1967年、昭和42年。福井県内でも歴史のある系統です。特に平野部で見られるベトコン帽タイプが特徴的で福井県らしい風景の一部をになっています。山を超え、新武生変電所まで接続されます。

松岡変電所北西77kVブロック

さて、最後に松岡変電所北西の77kVブロックを見てみましょう。まず目につくのはもちろんコレ。

松岡変電所のドラキュラ鉄塔

松岡変電所のドラキュラ鉄塔

遠くからでも一番目立つこの鉄塔。一番上の腕金が一番長いいわゆる「ドラキュラ鉄塔」です。しかも引き留めになっており下に送電線が降ろされていてコウモリっぽさが倍増していますね。

もちろん変電所内なので遠くからでは何者かはわかりません。また周りの鉄塔から見てみましょう。

開発線(接続図群青色)

矩形鉄塔が並ぶ開発線

まずわかりやすいのが開発線。四角の矩形鉄塔が並んでいる上に併架がないので簡単に判別出来ます。1番鉄塔は敷地内で西側から南に回り込むように出発していますね。このまま西に直進し、福井市内北陸電力開発変電所まで。

それでは真ん中のはなんでしょう?4回線が手前に伸びてきていますが左側には2回線(と架空地線)のみが引き留められています。つまり下側2回線は引き下げて埋設されているということですね。

松岡連絡線と金津線(接続図黄色と黄土色)

それではまた田園の方に上の4回線を追ってみましょう。4回線鉄塔はそのまま併架されて北に進んでいます。2つ先に目立つ赤白鉄塔がありました。

九頭竜川を超える4回線鉄塔

巨大な九頭竜川横断用とあって、とても背の高い鉄塔です。早速銘板を確認してみると。

松岡連絡線15番(昭和62年3月) 金津線6番(昭和62年3月)

松岡連絡線15番 金津線6番とあります。ということは先程の半引き下げ鉄塔は15足す2で松岡連絡線17番だったわけですね。

半引き下げ鉄塔、松岡連絡線17番 金津線4番

それにしても金津線の方は。6引く2でこれは4番鉄塔となります。となると引き留められていない引き下げて埋設されている方が金津線ということになります。残りの3本あるはずですが、変電所内には見当たりませんでした。松岡変電所の謎です。

ちなみに上の松岡連絡線は154kVなので南側の154kVブロックまで建屋を越えて長く引き留められていました。この金津線とのペアは北の新福井変電所まで一緒に旅立っています。(新福井変電所においてはちょっとトリッキーな別れ方をしていますが、これはまた別の記事でレポートしますね。)

異型鉄塔の春江線(接続図ピンク色)

さて、最後になりました。例のドラキュラ鉄塔です。

たどってみると松岡連絡線の下側に立体交差しているのがわかります。

春江線2番プレート1988年3月

プレートには春江線2番とありました。

春江線2番

矩形鉄塔の2回線持ちタイプです。先程の開発線の矩形鉄塔はは1回線を3角に配置していましたがこれは一直線に並んでいます。

想像ですが上の松岡連絡線と金津線が昭和62年、つまり1987年ということで上が作られ追うようにして下の春江線鉄塔が作られたようなので、想定より低く作らなければ行けなかったのかも知れませんね。

ということでこれを後ろにたどると敷地内に1本、そしてその先に先程のドラキュラ鉄塔となります。どっかで聞いたパターンです。

春江線2番手前の変電所敷地内鉄塔

そう、さっきの成和線と同じですね。敷地内の春江線を見上げると・・・

春江線1-1

やはりそうでした。1-1の、「のいち番号」でしたね。ということで、この松江変電所で一番目立つドラキュラ鉄塔の名前は「春江線1番」と確定しました。

春江線1番

(ちなみに春江線はその名の通り春江変電所までの接続となります。なかなか面白い形の鉄塔が多い系統です)

まとめと接続図

松岡変電所接続図

ということで松岡変電所の接続系統図を作ってみるとこんな感じになります。(色と送電系統は目次を参照してください)

関西電力と北陸電力の隣り合わせの施設で北陸幹線の中継点。異型鉄塔や交差や埋込が多用された非常に楽しめる鉄塔探訪オススメの変電所、北陸電力松岡変電所でした。

参考リンク

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