花はすの咲く変電所 北陸電力 南条変電所 (福井県南条郡南条町奥野々)

北陸電力 南条変電所は平成12年の敦賀火力発電所2号機の建設にあわせて新設された、比較的新しい変電所です。

福井県送電系統図 南条変電所

北陸電力 南条変電所の地図と場所

北陸電力の更新前の送電系統図を見ても記載はされていませんが、越前変電所と敦賀火力発電所との中間地点、福井県南条町、国道305号線沿いにあります。

ホノケ登山道案内 幻の北陸街道(クリックで拡大)

国道305号の辺りは古代北陸道を部分的に踏襲している場所で、南条変電所手前にはホノケ山の登山道として、「まぼろしの北陸道」若狭脇往還道・塩の道・古北陸道の紹介案内があります。

南条変電所の周辺

南条変電所プレート

変電所は案内標識から少し上がった場所にあります。門の銘板の下には珍しい花模様が。南条の象徴、「花はす」のガラス模様です。変電所というと近づき御免的な物々しい雰囲気ですが、こういったPR的な意匠があると安心して見学できますね。

北陸電力 南条変電所(クリックで拡大)

それもあってか、南条変電所の周りは一周するように車道が整備されており、気軽に見て回ることができます。

鉄塔は隣接が4本。ブロックは東西に分かれているようです。

南条変電所西側154kVブロック

南条変電所西側154kVブロック

まず西側からみて行きましょう。南北から入る送電線を受け止める鉄塔は2本。両方共90度の角度鉄塔です。

鉄塔は丘の上にありますがそこまでも舗装路があり簡単にアクセスして足元のプレート確認ができます。

南条新武生線

南条新武生線1番 2001年6月

まずは手前、北側の鉄塔。こちらは「南条新武生線1番 2001年6月」とありました。

南条新武生線1番

ガイシ数は約20で154kV。北の新武生変電所からです。以前紹介した新武生変電所の記事に最終鉄塔が出ていますのであわせて御覧ください。

敦賀線

敦賀線1番2000年6月

舗装路はさらに南に伸びて隣の鉄塔も確認できました。こちらは「敦賀線1番2000年6月」とあります。

敦賀線1番

こちらもガイシ数から154kVであることがわかります。隣の南条新武生線1番とは兄弟のように似た形をしており、こちらは頭が赤色にペイントされています。

また違う点としては先程の南条新武生線は2導体なのに対してこちらは単導体。接続先は敦賀火力発電所のすぐそばの新敦賀変電所です。

もともとは一つの敦賀線として新武生と新敦賀を結んでいたのですが、この南条変電所の建設に伴い分割。南条新武生線の名前が生まれたわけです。

南条変電所東側275kVブロック

南条変電所周りは舗装路が整備されており見学が容易

さて、今度は反対側、東側に行ってみましょう。先程の西側が154kVブロックなのにたいしてこちらは275kVブロックとなります。

送電線が引き留められているGIS(ガス絶縁開閉装置)の大きさが西側より一回り大きいのが見て取れます。

南条変電所東側2鉄塔(クリックで拡大)

こちらの鉄塔はさらに高台に建っており残念ながら足元までは行けません。右側の黄色頭は矢印のような腕金を持った角度鉄塔で送電線を南側に曲げています、左側は通常の腕金で送電線は直進。この南条変電所唯一の非角度鉄塔です。

ガイシは23玉

どちらもガイシは23玉でかなりの高圧まで対応できる設計なのが見て取れます。導体数は2導体。275kVは超高圧でありコロナ放電を抑えて、かつ重量軽くするためにこの様な2本1組の送電線を使用します。

北東側は1番

双眼鏡で見てみると頭上の番号は確認できました。北東側の鉄塔は1番鉄塔の様です。

南西側は

他方、南西側の頭には49の文字が。どうやらこちらは最終鉄塔の様です。

南条変電所東側2鉄塔(クリックで拡大)

さて、問題の系統名ですが足元までアクセス出来ないため直接プレートをみて知ることは出来ません。いつもなら航空写真で追って、先の鉄塔の足元をチェックするのですが、この様な山間部の超高圧鉄塔は大抵、山の中に設置されておりどれも簡単にはアクセスできない傾向にあります。

よくみると・・(クリックで拡大)

でも心配ありません。実はこの南条変電所、引き込みゲートに丁寧に回線名が書いてあるのです。変電所によっては柵の外側からは確認しにくかったりしますが、南条変電所は双眼鏡があれば簡単に確認できるところに回線札があります。

南条越前線

南条越前線1L

ちょうど門の形になっている引き込みゲート上部に回線札はあります。北東側の回線は「南条越前線1L」と書かれていました。横には「南条越前線2L」。回線ごとに記されているので1L・2Lは回線番号というわけです。

南条越前線1番鉄塔

ということで北東側の鉄塔は「南条越前線1番」で確定しました。角度鉄塔が並ぶ中、一番落ち着いた雰囲気の鉄塔です。接続先は北東の越前変電所。越前変電所も非常に見学のしやすい変電所ですので是非セットで訪問してみると良いと思います。この南条越前線の最終鉄塔を見ることが出来ます。詳しくは越前変電所の記事を御覧ください。

敦賀火力線

敦賀火力線1L

さて、双眼鏡で隣のゲートに目をやりましょう。こちらも簡単に回線名がわかりました。「敦賀火力線1L」。隣には当然2Lの札もあります。

敦賀火力線49番

番数は先程、頭の番号札で確認できているので、南条変電所、南東の鉄塔は「敦賀火力線49番」で確定です。長いガイシ列に繋がった275kVの2導体を曲げている重厚な腕金と黄色い頭がとても格好のよい鉄塔です。

接続先はその名の通り敦賀火力発電所。北陸電力の資料によりますと元々は先程の南条越前線も含めて一つの敦賀火力線だったのですが、この南条変電所によって分割。現在に至るとのことです。

南条変電所周辺接続図図(クリックで拡大)

ということで接続図はこの様になります。非常にシンプルですね。

南条変電所の建設前は敦賀線と敦賀火力線の2つだったのが、変電所の建設によってそれぞれの片方に名前がつけられた形になります。南条変電所は敦賀発電所2号機建設に伴って新設されました。流れ的には敦賀火力からの275kVを受け取って154kVにし敦賀線に折り返して敦賀方向に直接配電することが可能になったわけですね。

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