内川ダム〜奥獅子吼山〜後高山 周回トレイルラン登山コース(18km+895m・13km+523m・12km+509m/石川県金沢市・石川県白山市)
後高山(しりたかやま)は石川県白山市と石川県金沢市との境界の734mの山で頂上には現在市営のスカイ獅子吼というレジャー施設が整備されている山です。ちょうど高原の様に平台になっており獅子吼高原と呼ばれます。
また後高山の南側には928.2mの奥獅子吼山が座し、低山ながら山頂から360度の白山麓のパノラマ展望が楽しめる山として人気があります。
そしてその後高山と奥獅子吼山までは南北に渡る尾根道。これが手取側扇状地の眺めを楽しむのは格別のおすすめの山歩きルートです。ほぼ平坦なのでトレイルランにも適しています。
今回はそんな後高山周辺トレイルを内川ダム側から周回するコースを紹介します。後高山までは犀鶴林道の舗装路が多いのでトレイルラン向けとしましたが歩きでも大丈夫です。
コースは3種類です。体力とお好みで。
目次
- コース1 内川ダム奥獅子吼山後高山周回フルコース地図(GPXトラック)
- コース2 内川ダム後高山周回コース地図(GPXトラック)
- コース3 後高山奥獅子吼山コース地図(GPXトラック/片道)
- コース1・2スタート地点 新内川第2発電所へアプローチ
- 巨石を見ながら菊水へ
- 加賀幹線と加賀東金津線
- 菊水ポケットパーク
- 菊水大橋を渡って犀鶴林道を登る
- 加賀幹線27巡視路から犀鶴林道ショートカット
- 奥獅子吼山へ行く場合(コース1)
- 奥獅子吼山へ(コース1)
- コース1・2 後高山コース
- 月惜小屋から獅子吼高原へ
- 後高山頂上
- 後高山から林道合流地点までの下降
- 倉ヶ嶽分岐(コース3はここから)
- 内川ダムへ下降
- おまけ:御堂山(みどうやま)に寄り道
- 参考リンク
コース1 内川ダム奥獅子吼山後高山周回フルコース地図(GPXトラック)
コース1は内川ダムから奥獅子吼山登山道に犀鶴林道でアプローチした後、奥獅子吼山山頂まで往復して後高山経由で内川ダムに戻るフルコースです。
コース2 内川ダム後高山周回コース地図(GPXトラック)
コース2は奥獅子吼山山頂までの往復は省略して奥獅子吼山登山道から後高山経由で内川ダムに降ります。コース1より約5km+350m短縮できます。
コース3 後高山奥獅子吼山コース地図(GPXトラック/片道)
そもそも舗装路は走りたくないよって場合はこの位置から奥獅子吼山まで。後高山尾根の絶景歩き(走り)だけを楽しめます。記事はここ逆に読んでんでください。コース3
それではコース1をベースに紹介します。
コース1・2スタート地点 新内川第2発電所へアプローチ
内川ダムは金沢市市内野田専光寺線(県道25号)からまっすぐ山側(県道114号線)別所方向に行った突き当りにあります。堤からは湖畔へ周る道があり水辺沿いに進みます。
ダム湖の突き当りに今回のスタート地点である新内川第2発電所があります。ここも含めて全国でも珍しい市営の発電所です。
ここは堂と呼ばれる土地でその奥の菊水も含めて現在は廃村になっています。堂大橋を渡って右手に駐車できるスペースがあります。
ちなみに北側から降りてきている道から今から向かう道は一つの林道で「犀鶴林道」といいます。金沢市駒帰から白山市鶴来に抜ける道で金沢周辺では最長の距離と高さの林道です。車やバイクでは時期によっては落石が多くちょっと危険ですが、眺めのいいツーリングコースとして有名です。ロードバイクで全走破チャレンジする人もいます。
巨石を見ながら菊水へ
発電所の南側にはゲートがありますが冬季以外は大抵空いています。内川上流へ目指して進みましょう。
そのさらに奥に、これから向かう(コース1)奥獅子吼山が顔をのぞかせています。
内川ダムの上流にはたくさんの巨石があり見ているだけでもその迫力を楽しめます。中には巨石の上に立派な木が生えているものも。
こんな感じの小さい滝が複数みられます。内川の源流はこの先の菊水の奥ですが、これらが集まってダム湖を作っているのですね。
加賀幹線と加賀東金津線
道の先には鉄塔が見えます。加賀幹線と加賀東金津線です。手前が加賀東金津線で電圧は275kV、奥が加賀幹線で最大級の500kVです。よく見ると加賀幹線のほうが大きく見えるので見分けが付きます。どちらも北東の加賀変電所からほぼ並走しており、番号(鉄塔の頭についている連番のこと)はお互い近い数値になっています。
やがて加賀金津線と加賀幹線の送電線の下をくぐります。加賀金津線は275kVで2導体(2本1束)、加賀幹線は500kVで4導体(4本1束)なのも一つの見分け方です。
東側から加賀金津線は26番鉄塔から27番鉄塔、加賀幹線は23番鉄塔から24番鉄塔の間をくぐります。
菊水ポケットパーク
途中橋と管理事務所方向への八木アンテナがついている小さな設備がありました。水位監視でしょうか。
理科の時間では上流へ行くほど石は大きくなると習いましたが、なぜか巨石群は先程のところだけだったみたいです。東側の谷から落ちてきたのしょうか。
景色を眺めながら菊水ポケットパークへ到着です。東屋がありますが休憩するには早いですね。
ここをまっすぐ行くと後谷線林道で川は東谷西谷に分かれてその先は行き止まりとなります。
水葉山南側の東谷の先からは水道管が山の中を通っており、先程の内川第2発電所の上に見えた導管に繋がってそこから下のタービンを回しています。
国土地理院地図で見ると水道管の経路が確認できますがよく通したものだと関心します。
菊水大橋を渡って犀鶴林道を登る
菊水大橋を渡っていよいよ登りです。といっても車道なので楽に歩け(走れ)ます。時期によっては落石が多く、バイクやロードバイクでも気をつけなければいけない道です。
ところどころに無記載の木の看板を見かけます。かつてはなにか書いてあったのでしょうか。
ちなみに加賀幹線巡視路24の看板がありましたが今回はスルー。(ここから奥獅子吼山に尾根伝いに登った猛者の方もいらっしゃるようです(参考リンク参照))
林道はぐるっと南側にまいて再び加賀幹線の下をくぐります。加賀幹線鉄塔25と26番の下になります。
やがて反対東側斜面にこれから行く犀鶴林道が戻ってきているのが見えます。ここが犀鶴林道の最南端の位置です。
下には内川の南西側源流が伸びており、その先には奥獅子吼山が見えます。春先には奥獅子吼の残雪で冷えた涼しい風が通って気持ちいいです。
北方向に折り返しました。今登ってきた道が蛇行しています。ここから見ると加賀幹線と東金津線が並走しているのがよくわかります。
ここにも流れ込み。道の下を通して導管で落ちる水を逃して道を守っています。
標高は500mを越えます。南西方向には水葉山と挙原山が見え始めます。先程のポケットパークの地図にも出ていましたが、夏道はなく積雪期のみ行ける更に奥の三輪山も含め近くて遠い山です。
加賀幹線27巡視路から犀鶴林道ショートカット
今回はこのポイントから左側加賀幹線27巡視路に入りショートカットして後高山と奥獅子吼山間への登山道へ一気に登ります。
プラ階段やロープがありますが、やや急なので路面が濡れていたり自信がない場合はそのまま犀鶴林道を進んでください。(その場合は3km強回り込むことになります。)
なかなかスリリングな登りです。三点支持で。
途中の奇木です。鉄塔加賀幹線27番はもうすぐ。
急なプラ階段の先に鉄塔加賀幹線27番が見えてきます。急坂はこれておしまいです。出来れば下降は避けたい道です。
鉄塔直下からは金沢市街が見えます。卯辰山方向でしょうか。
鉄塔加賀幹線27番からは左奥に次の鉄塔加賀幹線28番へのルートがあります。
ここからは傾斜も緩やかになり進み安くなります。
ずっと舗装路でしたのでようやく野花に出会えました。
左手には先程遠くに見てた奥獅子吼山が間近に。
次の鉄塔加賀幹線28番からは右奥に登山道があります。ここからは国土地理院地図にも出ています。
奥獅子吼山登山道へ合流しました。
奥獅子吼山へ行く場合(コース1)
ここから奥獅子吼山へは尾根道を約2.5km往復です。標高差は250mほどですがやや登り返しがあります。
時間と体力を見て余裕が無い場合はコース2へスキップしてください。
奥獅子吼山へ(コース1)
ここからは稜線歩きです。道は雪解け水でえぐれているところがあるので、トレイルランの場合は足をとられないように注意しましょう。(振り子のように側道を交互に走るといいらしいです。)
途中変わった場所がありました。階段がありその先は・・・池。池の反対側には更に階段が。
多分水たまりが進行して池になったのでしょう。レミングの死の行進を思い出して勝手にレミング池と名付けました。(ちなみに死の行進は迷信らしいです)
途中鉄塔加賀幹線29番が左手にあるので寄り道してもいいかもしれません。
人形山方向がみえました。
元の道に戻り今度は鉄塔加賀幹線30番。マジックインキでさしおの池の表示が書いてありました。
また寄り道。鉄塔加賀幹線30番はプラ階段ですぐです。
鉄塔加賀幹線30番は赤帽子鉄塔。航空法である程度の高さの鉄塔は赤く塗ります。よく見たら黄色も混じってました。
さて、先程の案内の池は・・・ありました。左奥です。
木々に囲まれた「さしおの池」。天気がいいので空が映り込んで綺麗でした。
快適な稜線歩き(走り)が続きます。
分岐がいくつかあります。どれも案内板があるのでそれに従ってください。この分岐は右で地理院地図によれば西側の犀角に降りれるようですが、薮が怪しい感じですね。
西側の展望が見え始めます。東側の内川ダムから上がったので反対側が見えた時は感動ですね。舟岡山がネズミの様に小さく見えます。
気がつけば周囲はは低木クマザサの高原ムード。空が明るいです。
また分岐。ここも案内に従い左折です。加賀禅定道で右はなんと白山へ向かいます。Wikipediaによれば7-8世紀の修行僧の泰澄が白山開山に向かう途中、この辺りの4箇所に泊まったことから「ししゅく(四宿)」がなまって「獅子吼」になったんだとか。
ピークからは登り返しがありますがほぼフラットの快適稜線歩き。
そんな快適な道も等高線がだんだん寄って来ます。遠くの展望が目に入ってきますが、すぐ先の頂上では360度見渡せるので止まる必要はないでしょう。
奥獅子吼山頂はまったく木がない丘になっています。登頂感抜群です。
山頂につきました。360度の大パノラマ。奥獅子吼山は1000m以下ですが、街が近いのと周囲に高山が無いので展望は抜群です。
4月の残雪期なので白山はまだ真っ白です。北側の医王山が同じ様な高さに見えます。
三角点の他にベンチもあり眺めをみながら休憩できるようになっています。
さて、もと来た道を戻りましょう。
コース1・2 後高山コース
さて、先程の巡視路との分岐に戻ってきました。ここからは後高山に向かいます。
その前に犀鶴林道との合流地点があります。そこへはロープがある急坂なので慎重におります。
その後杉林。里山では珍しくないのですが、今回はここへきて初の杉林ですね。
やがて舗装路がみえます。犀鶴林道です。(もし先程巡視路ショートカットしなかった場合もここで合流することになります。)
この林道は、金沢市駒帰町と白山市白山町を結幅員5.0m、延長30864mの一級林道で、広域基幹整備事業により昭和50年の着工から30年の歳月をかけて平成17年に完成しました。
この犀鶴線の開通は3230haに及ぶ広大な森林の効率的な林業生産活動や機能的な維持管理をはじめ、豊かな森林レクリエーションなどを推進していく上において重要な役割を果たすものと来されております。(碑文より金沢白山市長)
30キロと距離もさることながら水葉山や奥獅子吼尾根の危険な場所を通過している犀鶴林道。30年もかけてよく作ったものです。
ちなみに車でここまで来てここから奥獅子吼山に行くのが一番の奥獅子吼山への近道となりますので手軽に山頂展望を見たい時は利用ください。(通ってきた犀鶴内川側は落石が多く通行止めが多いので白山市側からが無難かもしれません)
鶴来能美平野を見ながらの痩せた峠道のアップダウン。これが獅子吼登山独特の醍醐味です。
途中、御堂山分岐路があります。コースとしては左ですが、往復20分ほどなので時間があればぜひ直進して御堂山山頂に言ってみてください。なんと獅子吼から内川ダム湖畔が見えます。(記事の最後の方におまけでレポートしています)
さて、左に行ったら再び杉林をはさみながら稜線を北上します。
古道風の掘られた道を通りやがてたどり着くのが月惜小屋。
月惜小屋から獅子吼高原へ
月惜小屋は避難小屋や山小屋としてはちょっと入りづらい雰囲気で中に地蔵様が3体安置されています。これは昭和8年のスキー大会で遭難した、3人の中学生を弔うものでちょっと悲しいいわれですね。
ここはゴンドラ下(パーク獅子吼)からの登山道との合流地点でもあります。後高山登山といえば大抵はこのゴンドラ登山道からこの月惜小屋経由獅子吼高原というのが一番メジャーです。(今回は金沢市側からのコースです)
獅子吼スタイルのアップダウンが続きます。4月。カタクリがところどころに咲いていました。
やがて開けた場所に建物が並んでいるのが見えます。獅子吼高原です。
獅子吼高原の観光化は1960年代頃に始まったそうで、この手取扇状地の景観を見る為に沢山の人がゴンドラで訪れたそうです。
現在は民間の資本移動の末、白山市の公営施設になっていますので公園と同じく気軽に散歩することができます。
もう50年以上が経過しますが、看板や遊具等ところどころにそんな最盛期の当時の面影を感じることができます。
頂上付近。左の鳥居?をくぐれば山頂です。
後高山頂上
後高山(しりたかやま)頂上648mです。白山比咩神社と展望台、頂上を囲むようにベンチがあります。
展望台からは手取川河口まで一望できます。50年前も同じ景色だったのでしょうか。
山頂から少し進むと十字路に出ます。直進で大丈夫です。
ここは左に沿って。すぐ左手に左手に階段がありそこから内川ダムへの道へ行くことが出来ます。
階段を降りずに行くと行き止まりですが仏舎利塔がありますのでちょっと寄り道してみましょう。
後高山仏舎利塔です。後ろをふりかえると林の中に古い機械類が見えます。
使われなくなったゴンドラ跡の様です。レトロ感が漂ってきます。この方向にもコースがあったのでしょうか。
しばし過去を偲び、突き当りを引き返し西側の階段をおります。
後高山から林道合流地点までの下降
案内板の通り8の時に遊歩道が整備されています。またその先には書かれていませんが内川ダムへの林道と接続されています。
途中カタクリが群生しました。踏まないように。
獅子吼高原を離れても獅子吼スタイルのアップダウンの細い稜線道が続きます。
途中521mであたりで道は回り込み北へ。
道が巨石で塞がれています。
裏にはちゃんと階段が。大昔に掘られたのでしょうか。
さて、車道はもう右手に見えてきてます。最後のロープ坂を下降します。
倉ヶ嶽分岐(コース3はここから)
車道に出ました。稜線歩きや無舗装トレイルランだけならここからスタート奥獅子吼まで往復でもいいかもしれません。(コース3: その場合は逆に読んでください)
内川ダムへ下降
さて、舗装路をに出たら北に。すぐに分岐があります。みぎの未舗装路で内川ダムへ戻れます。(ちなみにまっすぐ行くと倉ヶ岳です。別記事で紹介しています)
走りやすい未舗装林道が続きます。反対側には先程の後高山の無線塔が見えます。
やがて道路は舗装路に。さらに谷を降りると内川ダム湖畔が見えてきます。帰ってきました。
静かな内川ダムの湖畔を見ながら元の場所に進みます。道はフラット。向かい側には新内川第2線鉄塔(1回線3本腕)が山を超えているのが見えます。3番と4番です。500kVの巨大鉄塔を見慣れた後なのでのどかな気分になります。
やがて新内川第2線1番鉄塔の頭が。スタート地点の発電所に帰ってきました。お疲れ様でした。
4月は湖畔の桜が咲いて綺麗でした。途中でダムを跨いでいるのは関西電力大 黒部幹線鉄塔66番67番です。
おまけ:御堂山(みどうやま)に寄り道
さて、途中で紹介した御堂山。後高山と犀角林道の接続点から10分程度で登れるので余裕があれば登ってみるといいでしょう。
山岳会の方々が整備してくださっているようです。
もともとは薮だったのを綺麗に切り開いて頂いています。南側からは急坂もなく登りやすいです。
カンカンもあります。熊よけもバッチリですね。
三角点はすぐに見つかります。南側と北側が切り開かれています。南側は鶴来手取川。そして北側は・・・
本当に本当に内川ダム湖が見えます!地形的に内川ダムが見える箇所は珍しいので感動してしまいました。この御堂山、ちょうどダム南側の谷筋の先にあるんですね。
ちなみに、このまま直進して月惜小屋にも行けなくもないですがかなり急な杉林を降りる必要があるので、道は折り返したほうが無難な様です。
参考リンク
- 広域基幹林道犀鶴線 - Wikipedia
- 内川ダム - Wikipedia
- 獅子吼高原 - Wikipedia
- 奥獅子吼 内川~(金沢市、白山市) - 2016年03月31日 [登山・山行記録] - ヤマレコ
- 泰澄 - Wikipedia
- ∞西王母❤東王父∞真生る三輪山☆ミ