【飛距離検証】 特定小電力NT-202M徹底レビュー
21世紀型の特定小電力トランシーバーNEXTEC NT-202Mのレビューです。購入検討されている方の参考にどうぞ。
目次
なぜいまさら特定小電力トランシーバー?
トランシーバーは携帯電話やスマホが普及する前は一部ではメジャーな存在で、アウトドアでは欠かせないものでした。
特に免許不要の特定小電力無線は登録も必要なく買った日から使えてとても身近な存在と言えました。
携帯電話の普及で次第にトランシーバーは完全に趣味の存在になってきましたが、この現代においても1組持っているとなかなか便利だったりします。
どうしてかと言うと携帯スマホだと呼び出してから応答となるので、少し離れた所で断続的に一言二言通話するには手数が多くなりすぎる事、それではとずっと通話状態にしておいた場合はイヤホンをつけないと呼び出しが聞こえなかったり、スピーカーだと雑音が入りっぱなしになり電池も消耗するといったデメリットがあるからです。
トランシーバーだとそんなデメリットはなく、通話したい時にボタンを押しながら喋るだけですぐに相手に意思が伝わり、電池の無駄もありません。手数も少なく効率のよい今だに役立つ通信手段というわけです。
そしてもちろん3台以上あれば同時に発声させられるメリットも見逃せません。
オークションの激安トランシーバーは完全違法な上に低性能
オークションやフリマに売ってる数千円で5km届きますというトランシーバーがよく売られています。
スペックだけ見ると良さそう見えてしかも安価。つい飛びつきたくなりますが、これは絶対に買ってはいけません。
理由は簡単でズバリ違法だからです。無線で使える周波数は各国で異なり、これらは海外用で日本では使ってはいけない周波数を使っています。
そんなのわからないんじゃない?と言うのは甘くて、その様なブラックリストされている周波数は常にモニターされており検挙された例もあります。
しかもこの様な製品は総じて低品質。マイクとスピーカーの性能が極端に悪く、言ってしまえば10mでも相手の声が聞き取れません。しかも5kmと言うのはウソで実際は数百メートルがせいぜいです。
繰り返しますが、オークションやフリマの激安トランシーバーはお金を捨てる様なものなので絶対に買ってはいけません。
NEXTEC NT-202Mについて
そんな特定小電力トランシーバー、その中でも「21世紀型」と言えるのがこのNEXTEC NT-202Mです。特徴は何と言ってもその小ささ。トランシーバーと言うと電池が3、4本入っていて重量感のあるイメージですが、NT-202Mはマッチ箱を少し大きくした様なサイズ。これはフタに入っている最新のリチウムポリマー電池がもたらした革新です。充電もUSBで行えるのでスマホのバッテリーなども流用可能です。
NEXTECは無線機器の大手FRCのブランドで小さいながらもスピーカーやマイクの音質はなかなかのもの。安物の様に音が割れて声は聞こえるんだけど内容が聞き取れないという心配は皆無です。
NEXTEC NT-202Mレビュー
パッケージは2個1セットになっていて買ったその日からペアで使えます。横に梱包されているのは充電器で、一般的なUSB用ACアダプタとmicroUSBケーブルです。
ストラップ用の穴は汎用のものが空いているので付属のものの他に自分で気に入ったストラップをつけることができます。脱着式なんかを付けるのも一つのアイデアですね。
画面には電池残量とチャンネルが表示されています。
ストラップの他にベルトクリップを取り付けることもできます。これは精密ドライバーで固定するタイプ。
クリップは横にもなるので例えばジャケットの胸元につけるなども可能です。重さも48gしかないので昔の特定小電力トランシーバーと比べても使い勝手が広がっているのがわかります。
大きさはこの通り手にすっぽりとおさまるサイズ。この軽さと小ささは感動的です。
NEXTEC NT-202Mの使い方・チャンネル変更方法・ロック方法(取扱説明書)
使い方は非常にシンプル。電源キー長押しでオン。
チャンネルは電源キー押せば選択モードになるので上下で変更して相手と合わせます。もちろん3台以上あれば全部の機器から声が出ます。最後にPTTスイッチを押せばチャンネル変更完了です。
普段は音量ボタンは音量を合わせることができます。いったん表示はUがつく音量モードになりしばらくしたらチャンネル表示に戻ります。
使い終わったら電源ボタンを長押しすれば電源オフです。
ちなみに音量上げキーを長押しするとキーロックできて、下げキーを押すと解除できます。公園でお子様に渡したりするときはロックして渡せばチャンネルや音量が下がっていて通話できないということが避けられます。
NEXTEC NT-202Mの電池の持ち
電池は仕様的には18時間とありますが、80秒間隔で通話した時の場合なので実際はもっと持続します。旅行なんかでも車やモバイルバッテリーでUSB充電できるのがまた安心感があります。
NEXTEC NT-202Mの飛距離
さてそれでは実際にどれくらい到達するのか、テストしてみましょう。
見通しの良い道路で50メートルずつ離れながら通話可能かどうかを調べてみます。
まずは50メートル。相手の顔も見える距離です。これはもちろん楽勝。この距離でも相手と直接会話するのは大変なので便利です。
次は倍の100メートル。相手の顔はわかりませんが姿は見えます。ちょっとした公園だとこの程度ですね。お子様に持たせておけば安心で楽しんでもらえると思います。
声はもちろんクリアに聞こえて雑音もありません。
150メートル。まだ相手の姿は確認できますが識別はちょっと難しい程度。会話は依然支障ありません。
200メートル。すでに相手は服の色も不鮮明。広めの運動場や競技場のイベントなどではこれくらいの距離で十分なの無いでしょうか。それでも会話は全く問題ない状態。
250メートル。相手の姿は点に見えます。イヤホンマイク端子があるので工夫すればバイクや車、自転車でのツーリングでのコミュニケーションではこれくらいの距離になるかと思います。会話はまだ大丈夫そうです。
300メートル。相手はいるのかよくわからない距離。この辺りからまれに雑音が感じられてきます。会話は可能。
350メートル。到達が不安定になるのを感じる距離です。何度か声かけたらたまに繋がって返ってくる感じです。スケルチがないのがNT-202Mの唯一の欠点かもしれません。
400メートル。全く繋がらなくなりました。ということで実用距離は見通し300メートル程度の様です。
NT-202Mは使い物になるのか
さてこの携帯スマホの時代に特定小電力トランシーバー果たして役にたつか?というと結論としては「かなり使える」です。
特に昨今、子供がキャンプ場で行方不明などのニュースもよく聞きますが、4万円以上するスマホを月々契約金を払って持たせるのも、、という向きにはぴったりです。使い方もPTTスイッチを押すだけと簡単で落として壊しても(そんなに壊れなさそうですが)数千円ですみます。そして何より「楽しい」。これに尽きます。
飛距離はレビューの通り、携帯電話の代わりになるレベルではありませんが、「携帯電話との併用を前提」とすれば仲間でのツーリングや登山でのツールとしては多人数通話や即時応答性などメリットは高いです。離れすぎたら携帯で連絡をすればいいだけなので、これ以上の飛距離は現実のシーンでは必要ないでしょう。
ということで特定小電力トランシーバーNT-202Mのレビューでした。筆者はアマチュア無線時代からのトランシーバーとの付き合いですが枯れた製品と思っていたトランシーバーにリチウム電池がもたらしたこの革新には今更ながら感服です。