配達用スーパーカブで日本一周中!(最終内陸県編)

11月9日(54日目)

「日本一周してるんだ。これからどこに行くの」

「奈良です、また敦賀に戻ってくる予定なんです。」

「そうかい、気をつけてな」

ガソリンスタンドで何度も聞かれたいつもの会話。単調ですが一人旅なので声をかけてもらえるのは嬉しいものです。

敦賀から琵琶湖西側の滋賀県高島市への道は丘陵になっています。11月で融雪装置の点検でしょう、道路に勢いよく水が噴出されていました。足をあげて避けながら進みます。

琵琶湖は言うまでもなく日本一の湖です。海岸の景色とはしばらくお別れのつもりだったのですが、琵琶湖の景色は今まで見て来た風景とそう変わりません。白髭神社の鳥居があったのでバイクを停めて写真。後ろを振り向くとたくさんのスマホを持った人々が。前来た時は無かった展望台が新設されていました。邪魔にならない様にそそくさと立ち去ります。

内陸部は海岸線トレースと違って半島がないのでどんどん直線距離が進んで気持ちがいいです。今回は海岸線にこだわり過ぎましたが、次回があるとすればのんびり好きな道を放浪するのも悪くないなと頭に浮かんだりもします。

琵琶湖大橋の袂のあたりからば大津。ここから京都までかなり渋滞します。湖西線を使えばいいのですが残念ながら原付走行不可。

出来れば今日中に奈良の東大寺まで行きたいのですが、多分京都市内を通ると流れが悪く間に合いません。琵琶湖南端の流れ込みである野須川を登り、奈良市の北東の山岳部をショートカットする和束を通る県道を選びます。渋滞はなくスムーズでした。和束はお茶の産地で茶畑が綺麗でした。

京都木津川にでて南に進むと奈良市です。東大寺はすくそこ。ここできつい渋滞があったので迂回して公園に入ると定番のシカがたくさんいる場所につきました。時刻は17時少し前。バイクを適当に停めて急いで大仏殿に行きます。声がしてもう閉まりますよとのこと。17時半までだと思っていましたがどうやら17時までの様です。急いでチケット600円を購入して大仏殿に入ります。後ろからどんどん柵が閉まっていきます。もう10分遅れていたら閉まっていました。ラッキーでした。

さて、ここからどうするかです。明日は早朝から深夜まで一日中雨。幸い快活クラブはたくさんあります。奈良で1日停滞するか、岐阜まで進んでしまうか。

結局岐阜まで行くことにしました。150キロ以上ありますが、どうせ快活は時間制なので遅く入った方が安いので時間潰しです。

来た時と同じく京都市は迂回して東側の山を抜けます。滋賀県甲賀市と三重県いなべ市を通る国道307号と421号です。

いなべ市に抜ける直前に4kmのトンネル。途中には退避箇所が複数ありますが、ゴミと落書きだらけ。こんな場所もあるのだなとトンネルを抜けると、、まさかの雨。明日の朝までは降らないはずですが、、。慌てて先ほどの退避場所に避難してテントと自分を雨装備にします。

もう一度出口に行ってみると、さらに雨足がひどくなっています。また退避場所へ。この往復だけで1.2キロあるのでなかなかの距離です。

まさか、今夜はトンネルの中で夜を過ごすのか?なんて思います。携帯の電波も繋がりません。

ゴーー

車が通る度に轟音が鳴り響きます。無理です。こんな所で寝る勇気はありません。

一か八か、雨の中に突入します。幸い、少し進んだら雨がやみました。出口付近だけだったみたいです。

結局、この日は明日滞在予定の図書館の自転車置き場の下を借りました。東屋よりも広い屋根なので濡れる心配はありません。ただ、遅く入り早く撤退しなければいけないでしょうが、、。

奈良で買って来た鯖弁当を食べ、ブログは明日にして24時過ぎに床につきました。夜中に蚊が侵入して来たみたいで顔を何箇所も刺されボコボコになりほとんど眠れませんでした。素早い蚊で駆除も大変でした。虫除けがあればいいのでしょうが、時期的に今から買うのは躊躇いますね。

走行距離:540.8km(積算:15393.4km) 食費:1494円(積算:83288円) 燃料:1339円/7.78l(積算:42588円/238.95l) 用品:110円(積算:74753円) 観光:600円(積算:11410円) 小計:3543円 積算:339898円

11月10日(55日目)

5時半。日の出も遅れて来ているので撤退が必要な場合、朝は多少余裕があるのが利点です。気温はテント内20度。かなり暖かい日です。

雨の日なので図書館が開く9時半までどうしようか悩みます。マクドナルドは3キロ先。予報的に図書館に戻る際に雨に降られるのと、野外駐輪場なのでバイクが濡れるのは確実。

悩みましたが結局マクドナルドに行くことにしました。充電したいのと3時間半はやはり長いので。

マックについたら充電コンセントがない店舗。掃除用のコンセントの近くに陣取ってモバイルバッテリーを充電します。

店員さんが来ました。怒られるかなと思ったららなんとこの方も去年RX125で日本一周されたそう。他にお客さんも居なかったので話が盛り上がりました。

雨が強まって来たので早めに図書館に避難。と思いきや、図書館は今日閉館日。仕方ないので屋根があるところで昼から夜まで過ごしました。こんなに何もせずに過ごすのは人生初めてかもしれません。何事も経験ですね。

走行距離:8.1km(積算:15401.1km) 食費:490円(積算:83778円) 燃料:355円/2.18l(積算:42943円/241.13l) 小計:845円 積算:340743円

11月11日(56日目)

朝5時です。暖かくてまだまだ眠れそうですが、今日は非常に街中なのでさっさと撤収します。

報告。実は昨日、愛知県警にUターンで切符を切られました。長旅で気が緩んでいたのと、雨の中焦っていたのが原因です。かなり精神的に凹んでしまい、もう金沢に帰ろうかなとまで思いましたが、これ自体、旅に支障がある訳ではなく、もし本当に事故でも起こしたらそれこそ今までの苦労が水の泡なので、気を引き締められる、いいきっかけになったなと思います。これを教訓に安全運転を第一にゴールを目指します!

さて、とはいえ悶々としながら歩を進めます。気分的に観光する気が起こらないので淡々と進むだけです。愛知県堺から岐阜県へ。高度は上がり気温がグッと冷え込みます。日が出ているのにいつもの夜間走行をしているくらいです。

右手には南アルプスがあり、直接は愛知県北部から山梨にはいけません。この中山道はそれを北に迂回して諏訪に向かうルートとなります。

ガソリンを補給。昨日余ったパンとコーヒーを休憩室で食べて休憩します。もうこちらは暖房が入っていて暖かいです。路上の気温計の温度は4度。未体験の寒さです。案内標識には高度も書かれておりおおむね800メートル。100メートルで0.6度さがるので4.8度以上平野部より冷え込んでいる計算ですね。

諏訪湖が見え、長野県諏訪市までたどり着きます。湖畔の街はかなり発展しており、ホームセンターもあったのでオイルを調達。おそらくこれが最後の交換になるでしょう。チェーンはほとんど伸びていません。純正が伸び過ぎですね。

今度は南アルプスの東側に進みます。ちょうど紅葉のラインで岩肌についた赤や黄がとても綺麗でした。

やがて甲府市へ。ここから埼玉県へは雁坂峠という日本三大峠に数えられる場所を通ります。ここのトンネルは日本最長のトンネル。近くまで行ったのですが、秩父まで70キロ、時刻は15時と日が暮れそうなので手前でキャンプすることにしました。スーパーで弁当を買い、道の駅の東屋に。ちょっと早いですが、今日はここまでとします。

走行距離:300.5km(積算:15701.6 km) 食費:1049円(積算:84827円) 燃料:750円/4.21l(積算:43693円/245.41l) 小計:1799円 積算:342542円

11月12日(57日目)

寝袋を通して冷気を感じます。今までにない異次元の寒さです。

今日から寒気が流れ込んでくるので、気温がかなり下がる上に、標高高めの場所にいるのでなおさら冷えるわけです。どうしても寝袋から出るのが億劫で午前6時まで寝過ごしてしまいました。

6時過ぎ、甲府を立ちます。昨日手前まで来ていた雁坂峠を進みます。日本三大峠というくらいなので過酷な道を警戒していたのですが、思ったより走りやすく、雁坂トンネルも一般道最長なので心配していましたが交通量はほとんどなく難なくパスして埼玉県に入れました。

秩父からは熊谷に向かい、そこから北上、宇都宮方向に向かいます。宇都宮ICに囲まれた場所の宇都宮餃子館で餃子12種盛りをコーラで頂きました。しかし寒い。身体がずっと悴みます。

ほぼ空になっていたガソリンを満タンにして日光に向かいます。日曜日ということもあり市内はなかなかの人だかり。それを横目にいろは坂に登ります。

いろは坂は登りと下りがそれぞれ別の道になっており、コーナーごとに、い、ろ、はと仮名がふられています。紅葉は終わった木が多かったですが、ちらほらと赤い木もみれました。

登りきったら中禅寺湖がありますので写真をとります。このまま東の沼田に抜けようかと思っていたのですが、今夜は雨のようなので南下して前橋市に入ります。

その頃には16時を過ぎていたので水と食料を補給、明日、軽井沢を経由するつもりなので国道18号線を前橋市を過ぎて進みます。

と、ここで予報外れの雨。公園を探している暇はないので雨宿りできそうなバス停があったので今日はここでストップです。場所が場所なのでまた早く出発せねばなりません。外の気温10度、テント内12.7度。おそらく明日の朝は旅始まって以来の寒さになるでしょう。覚悟して夜を明かします。

走行距離:340.0km(積算:15701.6 km) 食費:1779円(積算:86606円) 燃料:926円/5.39l(積算:44619円/250.8l) 通行料:70円(積算:1140円) 小計:2775円 積算:345317円

11月13日(58日目)

「すいませーん警察です」

まさかのここへ来て職質。なんでも近所の人が通報したそう。「別に犯罪じゃないからいいんだけど、言われた手前、ここからは動いてほいしんだわ。」と群馬県警。

時刻は22時30分、気温は4度。数時間寝たのでそのまま昼まで進もうかなとも思います。群馬県高崎から軽井沢に抜ける碓氷峠。標高は956m。進めば進むほど冷え込む上に、なんと予報にない雨まで降り始める始末。

このまま夜間に濡れてしまっては乾く余地もなく凍えてしまいます。そんな中、たまたま途中で見つけた休憩スペースにテントが貼れそうな東屋が。周りには車中泊している車がたくさんあるので気軽にテントを貼れそう。ラッキーです。

24時をまわっています。もう外気温は氷点下に届きそうなくらい。そそくさとテントに逃げ込みシュラフにくるまるとすぐに眠りにつけました。

翌朝6時。今までに体験したことのない寒さがシュラフの隙間から差し込みます。テントの中でも4度。なかなか起きれませんが体に鞭打ってテントから出ます。多分この野営がこの旅で最低温になるでしょう。

雨は降っていませんかあまりに寒いので外にカッパを着込んで軽井沢を抜けます。路面温度計はマイナス1度。もうあまり止まりたくありません。国道144号でもと来た諏訪湖に戻ります。

途中は山が冠雪しているなと思ったら、しばらく進むと雪景色。スリップしないかヒヤヒヤしながら諏訪湖に進みます。本当に周回するなら松本から高山なのですが、安房トンネルは原付通行不可な上、迂回路の安房峠はすでに冬季閉鎖中。その先の高山や白川も今の装備ではきついと判断し、元来た南側ルートを戻ることに。

一昨日休憩したスタンドで再び残りのパンを食べ朝食とします。ここまで来ると雪は無くなり比較的暖かくなります。暖かいと言っても10度以下。九州四国ではこの温度で凍えていたので温度なんて相対的なものなのだなと感じます。

やがて多治見市へ。岐阜県に戻ってきました、ここから一宮に回り込みます。少し南下してまた愛知県稲沢で今日は休むことにしました。今日は晴れなので場所は屋根無しの目立たないところで。

実は稲沢に行ったのは切符の件で事務処理的に納得いかない点があったため。これはまた次の機会に書きます。

さて、明日14日は北陸は雨、晴れなのは15日一日のみです。1日で福井から能登半島は無理なのでどうするか悩みどころです。

走行距離:310.6km(積算:16013.1km) 食費:700円(積算:87306円) 燃料:500円/2.70l(積算:45119円/253.5l) 小計:1200円 積算:346517円

11月14日(59日目)

午前6時。寒いので、だんだん起きるのが遅くなってきます。今日は8時から警察署に行く予定。7時半ギリギリまでテントの中で過ごしました。

8時、警察署でバトル。内容は、また別の機会に書きます。

終わったのは9時半。ここから岐阜に向かいます。有名なラーメン店である丸デブに11時少し前に到着。まだやってないのかなと思ったら、中には人が座っています。暗いので恐る恐る開いたら、お客さんがこのまま待てばいいよと教えてくれました。11時開店ですぐに食べられました。つゆがお盆に溢れる位の量なのは、特徴食べている間に後ろには行列ができていました。

朝ご飯はラーメンになりましたが、満腹したので出発。お腹がびっくりしてるのがしばらくいが痛かったです。金華山まで北上してから南西に進路をとります。大垣に着く頃には、西のほうにどんよりと雲が。琵琶湖の北側に向かう感じで、国道のバイパスを通って行きます。小腹が空いたのでファミリーマートでパンを食べて休憩天気予報を見ると、北陸のほうはやはり雨のようです。ギリギリまで攻めていき様子を見る作戦で行きます。

琵琶湖に抜ける頃には、予想通り、雨が降ってきました。カッパを着込んでそのまま進みます。敦賀の辺りはトンネルが工事中で渋滞していました。何とか抜けて日本海に出ます。久しぶりに海を見ました。ストレスが溜まることがありましたが、海を見ると、なんだかすかっと気分が晴れました。不思議ですね。

もう日が傾いていますが、そのまま進みました。入ろうかなと思っていた。温泉である漁火は今日はお休み。その先の道の湯に入りました。地元の方と喋りながら入って体がとても温まりました。お店の人に聞くと、この辺はスーパーがないとのことでコンビニだけとのことです。コンビニの前をどうしようかなと思い通り過ぎます。これ買っておけばよかったと後で後悔。これから先はずっと食料、過疎地帯でした。水と寝床はたくさんありそうなのにちょっともったいなかったです。

結局三国まで出てゲンキーで夕飯を買いました。びっくりするぐらい安かったです。その先の東尋坊の手前にロードパークがあったので、そのトイレの軒下を借りることにしました。

夜半は雨が降る予定なので屋根は必須です。当初の予定では、3日が晴れる予定でそこで能登半島回ろうと思っていたのですが、予報が変わりちょっと無理そうです。どうしようか明日また考えます。

走行距離:211.1km(積算:16224.2km) 食費:1837円(積算:89143円) 燃料:838円/4.85l(積算:45957円/258.35l) 入浴:410円(積算:6510円) 小計:3085円 積算:349602円

11月15日(60日目)

雨音。

朝の6時です。天気予報を見ると今日は夕方までずっと雨。どうしようか悩みます。晴れ間は明日1日だけ。1日だけで原付で能登半島をまわるのは無理があります。これを逃すと次は約一週間後。

どちらにせよ土砂降りで動けないのでそのままテントで待機することにしました。退屈なのでラジオを聴いています。場所はロードパークのトイレの裏なのでそれほど目立たず安心して過ごせました。

近くに図書館がありますので、そこで今日1日過ごすのもいいかなと考えます。

9時ごろ、テントに日差しが差し込んできました。どうやら雲の切れ間で晴れてきた様です。今から進むのは西方向。風向きも西の方向なので、このまま進めば晴れ回と一緒に進めそうです。すぐに準備して出発しました。念のため、カッパは着ておきます。

すぐ近くに東尋坊があったので立ち寄りました。前はお土産屋さんの駐車場は無料だったのですが今は有料になっていてびっくりしました。いつでも来れるので遠くの無料駐車場から写真を撮ってそのまま出発。隣の雄島も軽く見て芦原温泉のほうに向かいます。

この辺は、国道は海沿いを通っていなくどうしようかなと思ったのですが、できるだけ攻めていく感じで進みました。途中、畜産試験場で、ヤギがお立ち台に立っている光景が面白かったです。

やがて石川県に入ります。とうとう戻ってきました。家はもうすぐなのですが、日本1周の完成には能登半島を回って富山県高岡市の海王丸パークに行かねばなりません。

海沿いを走り金沢市の方向に向かいます。時間押しているのでそのまま内灘町に入ります。藤縄大橋のところで中継したから、かほく市へ。久しぶりに金沢名物のカレーが食べたくなり、チャンピオンカレーに入りました。久しぶりに入ったら凄く値上がりしていてびっくりしました。マヨネーズも無料だったのが有料に。

懐かしい味を楽しんでいたら、外は雨。先の方を見ると、晴れ間が見えるので突き進むことにします。かほく市を抜けて志賀町へ。原子力発電所が見えてきました。雨は途中すごい勢いだったのですが、だんだんやんできてほっとしました。

この辺は奇石がたくさんある能登金剛と呼ばれる地帯です。巌門、はたご岩と懐かしく見ながら進みます。世界一長いベンチがあり、その先には義経の舟隠しと呼ばれる入江。48隻の船を隠したとの逸話があります。その先ヤセの断崖。外国人の方が何人もレンタカーでこられていたのでこんにちはと挨拶したら愛想よくしてくれました。

その先はトトロ岩。名の通りとなりのトトロとそっくりの岩で、目玉も後からつけられていました。この辺は、岩石が鉄分を含んでいるのか、真っ赤で夕日に映えていました。

ここから、先、食料が手に入りにくいことが想定されるのでゲンキーでお弁当を買っておきました。ゲンキーは昨日初めて使ったのですが、とても安くびっくりしました。もっと早く使えばよかったです。

やがて輪島市に入ります。ライダー歓迎の看板が嬉しいです。ここも国道は海沿いを通っていなく、市道や県道が外周をまいています。ちょっと怪しそうな道だったのですが、思い切って入ってみました。

案の定、大量の落ち葉が積もった酷道。濡れているので、ヒヤヒヤしながらゆっくり進みます。猿山の水芭蕉の群棲地への道で、以前に登山できたことがあったので、とても懐かしく思いました。娑婆捨峠で道はストップ。娑婆捨てとは、漁師に追われた鹿がここで断崖絶壁を落ちるか、猟師に捕まるかを選ばなければいけないのでそのように名付けられたそうです。

ここにいい休憩所がありました。このままここで寝ようかとも思ったのですが、まだ日の高さがあるのでもうちょっと進もうと考えました。海が西向きにあると日没が遅くなるので余裕があります。

少し戻って、もう一度海沿いの県道へ。とてもきれいな虹が見えました。虹が見えるということは、その先は雨が降っていると言う事ですが、、。

折り返し県道に入ると夫婦滝という滝がありました。名の通り2つ並んでいる滝です。その先に進むと海へ。品川ナンバーの車が停まっており、何かの撮影をしていました。この沿道にも東屋やバス停があり、寝るところを探すには苦労しなさそうです。

結局この日はゾウゾウ鼻展望台の下のスペースを借りることにしました。壁もあり、屋根もあるので今夜の雨をしのげそうです。多少風はつよいですが、壁があるので大丈夫でしょう。ラジオは秋田県の放送が聞こえました。

あらためてこちらに戻ってきて気づいたことですが、こちらは他と比べて、人が少なく、こうやって野宿するのにもそれほど気を使わなく場所もたくさんあるのがいいところなんだなと感じました。ずっとこちらにいたら気がつかなかったことですが、こうやって日本一周してみると、そのありがたみに気づきます。半島なので景色も良く通過する通過するトラックも少なくツーリングには絶好の場所なんだなと改めて感じました。

さて、明日はいよいよ高岡の海王丸パークにゴールインの予定です。何があるかわからないんで、最後まで気を抜かずに安全運転でフィナーレに向かいます!

走行距離:212.9km(積算:16437.1km) 食費:1643円(積算:90786円) 燃料:420円/2.37l(積算:46377円/260.72l) 小計:2063円 積算:351665円

11月16日(61日目)

ポタポタポタ。

展望台の下で屋根がありますが、風に乗って来た雨粒がフライシートに当たる音が聞こえてきます。耳栓を取るとザーとすごい雨の音。屋根なしの場所に寝ていたらアウトでした。なんとかフライシートが耐えてくれることを祈りながら夜を過ごしました。

朝がた、強風がテントをあおります。雨は止んだ模様。テントの中の浸水は幸いありませんでした。海風でアウターも少し乾いてきています。展望台から見渡す限りの水平線はもう明るんで来ています。出発です。

天気は今日一日だけの晴れ間。これを逃すと明日からは大雨がずっと続きます。距離的にも今日ゴールとなるでしょう。改めてバイクを見てよく頑張ったなと感謝を感じます。消耗品以外は壊れることなくメーターで18000kmも走ってくれました。ロードサービスも来るかわからないような僻地をなんども通りました。急に壊れたりしたら大変なことになっていました。もう一日、頑張って。

北陸は晴れても雲が無くなることはほとんどありません。今日も青空の向こうに大きな雲が浮かんで朝焼けに染まっています。水平線にはまるで船の様にいくつも島が浮かんでいます。七ツ島です。地元に住んでいてもここまで北側を走ることはしないので改めてその景色の美しさに驚きます。

やがて分岐に出ます。竜ケ崎灯台がある場所です。ちょうど朝日が昇りそうだったので竜ケ崎灯台の展望台に歩いて登ってみました。真っ白な灯台が青空に映えます。横には大きな方位板が。東の空が真っ赤に焼けます。朝日です。方位板に朝日と雲が反射して印象的な光景が作られていました。旅の間、何度も見た朝日もこれで最後です。これで見納めと思うと寂しくも感じられました。

分岐に戻り、鴨ヶ浦に。もう観光客が出てきて写真をとっていました。自然に作られた大きな岩礁が海岸線からせり出ています。岩場の中にはきれいな長方形の窪みが。これは番号やハシゴもついたプールです。昭和初期にはこの地域には学校にプールがなく、戦後に岩をくりぬいて作られた海水のプールです。穏やかな水面が朝日を反射していました。

やがて輪島の市街地へ。そういえばとても小さいころに来たことがあるなとふと思い出していました。真っ赤ないろは橋と朝市の光景が記憶に残っています。朝市は8時からでそこからは車両規制となりますがまだ7時だったのでバイクで通行できました。すでに石畳の朝市通りには屋台が立ち並んでいました。

ここからは地元では定番の観光地を一つ一つ見ながら進んでいきました。輪島の棚田、窓岩と改めてみると近くの場所でも素晴らしい景色が楽しめるのだなと感じます。輪島を抜け珠洲へ。獲得標高2000mの急な坂を上り、能登半島の先端、狼煙へ向かいます。

と、ここで走行中に首に激痛が。前にトラックが走っていたので、飛び石かな?と思い、手で触ると次は別のところに痛みが。パニックになり一旦バイクを停車させカッパを脱ごうとすると大きな蜂が出てきました。どうやら首元にこの虫が侵入してきたようです。念のため写真を撮って調べてみると幸いスズメバチではなくアシナガバチの様。狼煙の道の駅でハンカチで傷口を洗い、つまむように毒を抜き出します。病院に行こうにもこの場所では施設がないのでいずれにせよ珠洲市街まで行かねばなりません。幸い、晴れも痛みもそれほどではありませんでした。すぐに毒を出したのがよかったのかもしれません。

狼煙灯台を見て能登半島を東側に回り込んでいきます。聖域の岬のランプの宿と空中展望台、軍艦島こと見附島、能登町の巨大イカ、穴水のボラ待ち櫓と定番の観光地を回っていきます。海もきれいな透明な水色です。

今回の旅で色々半島をまわりましたが、ここまで盛りだくさんの景観があり、しかも観光地化されておらず道も広くすいていて、しかも人がそれほどではないので野宿できるカ所もたくさんあるツーリング向けの半島は他になかったような気がします。全国をまわって初めて地元能登半島の良さを感じ取れました。

内浦をぐるっと回り、中島のツインブリッジのとの橋を渡り能登島へ。ここもルールに沿って時計回りをします。能登島も何度も来ていますが、改めてここまで海岸線に沿って走ったことはなかったのでこんな景色もあるんだなと気づきがありました。水族館とガラス美術館の写真をとってから七尾市街に向かう能登島大橋を渡ります。海岸線をトレースするというチャレンジをしなければ近場とはいえ一生走ることがなかった道を走ることが出来ました。

七尾市の北東は小さな半島になっています。ここには北陸電力の七尾大田火力があります。石炭の発電所です。ここからぐるっとまわり、脇道にそれると観音崎灯台、七尾湾の入り口を示す灯台に行くことが出来ました。この半島も正直、住んでいる県なのに存在を意識したことがなく、形を知るいいきっかけになりました。

時刻は15時前。おそらく16時にはスタートゴール地点の海王丸パークに着けるでしょう。知人が来てくれると言ってくれたので連絡をしておきました。富山湾の向こうにはゴールを祝福してくれるかのように、冠雪した北アルプスがはっきりと浮かんでいました。GPSのトラックログを見るともうすぐスタート地点と線がつながります。

やがて富山県に。高岡市の雨晴海岸に寄ります。義経岩の向こうに北アルプスが浮かびとても美しい光景。北陸は雨や水蒸気が多く、ここまできれいに見えることはあまりありません。最後にいい景色を楽しめました。

伏木港を抜け橋を登ると白い大きな新湊大橋と海王丸のマストが見えました。とうとうスタート地点に帰ってきました!GPSの距離を見ると16726km、メーターで18000km弱です。凱旋するように海王丸パークに入り、バイクを押して撮影ポイントに。同じくらいに来てくれた知人に本州四極と日本本土四極証明を持った写真を撮ってもらいました。トラックログを見るときれいな日本地図が完成しています。

2023年11月16日、61日間をかけて富山県射水市の海王丸パークから新湊大橋を抜け、スタート。東北男鹿半島、津軽半島をまわり北海道へ。松前半島から亀田半島まで海岸線を走り青森へ、下北半島をまわり切り牡鹿半島、房総、三浦、伊豆、御前埼、渥美、知多半島をまわり愛知。志摩半島、大きかった紀伊半島、フェリーで渡った淡路島、戻って児島半島、しまなみ海道から四国に渡り高縄半島を抜け高知荘内半島、蒲生田岬、室戸、足摺、佐多岬、本州に戻り、上関、下関、九州に入り国東半島、佐賀関半島、鶴御崎、大隅半島、フェリーで沖縄本島一周、戻って薩摩半島、長島、天草諸島、長かった長崎島原、長崎半島、西彼杵半島、俵ヶ浦半島、神崎鼻からの真の道の西端である平戸島、東松浦半島、糸島半島、志賀島、角島、油谷島、青海島、島根半島地蔵埼、丹後半島、黒崎、敦賀半島、内陸8県、最後に能登半島と長い長い道のりでした。

日本一周はさまざまな形があります。全県をまわったり、各県庁所在地をめぐったり、百名山を制覇したり。今回僕がチャレンジしたのは日本の海岸線をトレースするという目標です。普段頭の中の地図では浮かんでこないような、突き出た半島がありました。半島はまわるだけでも直線距離にしたらショートカットする何倍もの距離を走る必要があります。道が細く入り組んでいたりアップダウンが何回も繰り返されたりと、走ってみて、最初に想定していたよりも大変な労力がかかることを思い知らされました。それでも、達成してみて、日本の地形をじっくり味わうことができたこと、今後も地図を見るのが楽しくなる自分になれたことが感じられます。

宿泊も宿は極力使わず、野宿をしてみて、本当に生きるために必要な最低限のものは何かがわかり、また日々寝る場所を探すという緊張感の楽しさや雨の日の辛さ、住居というもののありがたみを再認識できました。

なによりも最後に地元の能登半島を走るという計画により、今まで何気なく住んでいた地域の特徴を改めて確認することが出来ました。他を見ることにより地元を知ることが出来るのは面白い事です。

途中、辛い事や嫌なこともあり、帰りたくもなったりもしましたが、旅であった方、SNSでつながった方、そして仲間の励ましにより、何とか完走することができました。失うものもあったかもしれませんが全く後悔していません。この経験という消えることのない一生の宝物を手に入れることができましたから。

海王丸パークをあとにして、達成感を噛みしめながら最後の給油にガソリンスタンドに立ち寄ります。

「日本一周しているんですか!?」

旅でなんどもなんども聞かれた質問。いつもまったく同じなのですが、旅のコミュニケーションのきっかけとなる、なんど繰り返されたとしても、とてもうれしい質問。日本一周というのは誰もが一度はやってみたいと思い、興味を持ってくれる共通の目標のようなものだと思います。それを掲げることが通常のツーリングとはことなる日本一周というものの醍醐味なのではないでしょうか。

にっこりしながら、いつもの通り答えます。

「はい、今北海道と沖縄をまわって・・・・・」

―完―

走行距離:289.5km(積算:16726.6km) 燃料:1116円/6.33l(積算:47493円/267.05l) 小計:1116円 積算:352781円

統計

回数

出納

所感

よかったこと

わるかったこと

いい思い出になったこと

期待したほどではなかったこと

反省点

やってよかったこと

重宝したもの

不要だったもの

途中で買った用品

持っていけばよかったもの

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