スリリングな岩登りと森林限界の360度絶景を手軽に楽しむ 冠山(2.2km+240m/福井県池田町)
福井県越前町と岐阜県大垣市を結ぶ国道417号。地図を見ると途中で切れているように見えます。この間は林道冠山線と呼ばれ、自動車でも通行することができます。
その峠、岐阜県との県境である冠山峠は見晴らしもよく駐車場も整備されており、ドライブにも人気のある場所です。その冠山峠から見える烏帽子型のとても特徴のある山が、今回紹介する冠山です。
その鋭く尖った姿とは裏腹に登山は約250メートルの登りで手軽に行えます。かつては急斜面を登るルートも存在していた様ですが、現在は北側の比較的緩い斜面を登る登山道を残すのみとなっています。
国道から林道を進むと冠山峠の特徴のある看板があります。人気のある山ですが、駐車場は広いので停める場所に困る事は少ないでしょう。
駐車場の傍らには簡易的ですがトイレも用意されています。登山道は反対側の石碑の横からです。
左右視界の開けたとても眺めの良い道を歩き始めます。最初は斜度も緩やかです。
運がよいと早朝に武生の盆地に霧が溜まった光景を見る事が出来ることもあります。反対側には冠山の山容がまだ見えます。
1150メートル地点に向けて斜度は徐々に増してきます。途中岩肌を登る箇所もありますが難易度はそれほどではありません。一旦ピークを迎え、進路は南東方向へ一旦下りに入ります。
あたりの木々はブナに変わってきます。独特の形をなす木々の中、落ち葉で柔らかくなった登山道を進みます。
冠山は「日本三百名山」「ぎふ百山」「21世紀に残したい日本の自然百選」にも選ばれる等、とても評価の高い山です。その特徴のある形はもちろん、短いながらもその登山道の景観の良さや楽しさもその要因なのでしょう。実際に歩いてみると、それにうなずけます。
ほどなくして再び視界が開けます。北側には百名山である荒島岳の姿が望めます。
冠山山頂の姿は登り始めとそれほど変わっていない様に見えます。ピークの左側に見えるややなだらかな面が冠平(かんむりだいら)と呼ばれる部分です。
冠平はその高さにも関わらず、風の影響からか高木はなく滑らかな山肌が絶景を作っています。冠山の山頂は10人程度しか入れないので、混んでいるときの食事休憩はここでとってもよいでしょう。
冠平から少し東側にクマザサをかき分けると、切り立った東側斜面を眺める事が出来ます。遭難碑は1955年の遭難事故を偲ばせられます。
冠平から山頂へは、やや急な岩登りが待っています。
ロープも整備されており、板状節理で形成される岩肌は手足のかかりも良い為、見た目ほどの難易度はありませんが細心の注意を払い、挑むようにしましょう。特に混み合うことが多いので、前後の落石には特に気をつけてください。
岩場を過ぎ、クマザサがしげる細い道を進むと、その先は360度の山頂の絶景です。日本第三位のロックフィルダムである 徳山ダム、同じく300名山である能郷白山、遠くは御岳山まで見える日もあります。