「Nテトラトニックスケール」ドレファソの4音だけで構成される不思議な音階スケール

長調でも短調でもない不思議な音階、Nテトラトニックスケールについて解説します。

Nテトラトニックスケールとは

完全1度・長2度・完全4度・完全5度の4つの音程で構成されるスケールです。移動ドで言うと、ド・レ・ファ・ソの4音となります。

Nテトラトニックスケールの特徴とペンタトニックやアイオニアンスケールとの違い

アイオニアンスケール(長調・短調)とNテトラトニックスケール

まずは一般的によく使われるアイオニアンスケールの長調と短調の根音からの構成音程を見てみましょう。

長調 短調
完全1度 完全1度
長2度 長2度
長3度 短3度
完全4度 完全4度
完全5度 完全5度
長6度 短6度
長7度 短7度

長調と短調を見比べると4つの音が一致していますね。つまり、長調が「明るい」、短調が「暗い」と感じるのは一致している4音以外の3つの音の長短によるものだと言うことです。

なのでその違いの3音を長調・短調のアイオニアンスケールから除くことで「Nテトラトニックスケール」が出来上がります。

Nテトラトニックスケールの特徴

Nテトラトニックスケールの特徴は上記が物語る様に「同じキーなら長調・短調どちらにでも使える」ことにあります。

なぜなら長調・短調どちらにも含まれている音程のみを使用しているからです。

Nテトラトニックスケールのとペンタトニックスケール

アドリブで汎用性の高い有名なスケールとして「ペンタトニックスケール」が挙げられます。先ほどのアイオニアンスケールの表に加えてみましょう。

ペンタトニックについては、ここではなるべく一致する様、レの音を根音として考えます。

Nテトラ 長調 短調 ペンタ
完全1度 完全1度 完全1度 完全1度
完全1度 長2度 長2度 長2度
- 長3度 短3度 -
完全4度 完全4度 完全4度 完全4度
完全4度 完全5度 完全5度 完全5度
- 長6度 短6度 -
- 長7度 短7度 短7度

見ての通りペンタトニックの場合は3つの音程はアイオニアンの音程に一致していますが短7度だけは長調に一致しないのがわかります。仮にドを根音にシフトしても今度は長3度と長6度が短調に一致しなくなります。

なので通常はペンタトニックはアイオニアンに合わせる場合はキーを変えて使います。(例:Cメジャースケールの場合はCメジャーペンタ、Cマイナースケールの場合はCマイナーペンタ)

またジャンルによってはベントやチョーキングで調性して伴奏のスケールに合わせたりします。

対してNテトラトニックの場合はキーを変える必要がなく、上の例で言うとCメジャースケールの場合でもCマイナースケールの場合でもC Nテトラトニックスケールが使えると言うわけです。

Nテトラトニックスケールのコード

音程数の少ないNテトラトニックスケールですが、ちゃんとコードも使えます。

コード 構成音(移動ド)
I5 ド・ソ
IV5 ファ・ド
V5 ソ・レ

例えばCキーの時のスリーコードであるC・F・Gが(パワーコードのみですが)Nテトラトニックスケールではなんと全て弾けるのです。

そしてパワーコードのみと言うのがポイントで、例えばCマイナースケールの主要コードであるCm・Fm・Gmも上記と何も変更なしに伴奏できてしまいます。

つまりNテトラトニックスケールさえマスターすればスリーコードの曲であればマイナー・メジャーを意識することなくアドリブしたり伴奏したりできるのです。

Nテトラトニックスケールの存在価値

汎用性の高さ

Nテトラトニックスケールの存在価値は何と言っても汎用性の高さです。曲のキーさえわかればマイナーであろうがメジャーであろうがアドリブであわせることが可能です。

中性的なスケール

Nテトラトニックスケールの響きはとても「中性的」です。なぜならアイオニアン長調の「明るさ」をつかさどる長3度・長6度・長7度の響きももアイオニアン短調の「暗さ」をつかさどる短3度・短6度・短7度の響きもそこには存在しないからです。

ペンタトニックもある程度は中性的ではありますが、他に伴奏がない場合、上記の様に短7度がある分、ややマイナーよりの「暗さ」があります。

聴音に役に立つ

Nテトラトニックスケールは聴音にとても役にたちます。なぜならド・レ・ファ・ラはメジャースケールでもマイナースケールでもどちらでも出てくる音だからです。

つまり相対音感の訓練として優先的にNテトラスケールの4音のピッチをまず優先的に覚えておけば、キーさえわかれば長調であろうが短調であろうがNテトラスケール4音を軸として聴音しメロディの骨格をつかむことが出来ると言うわけです。

まとめ

と言うことで長調でも短調でもない不思議な4音つだけの音階、Nテトラトニックスケールについての解説でした。

伴奏や聴音にとても役に立つ音階なので、特に初心者の方はペンタの前段階としてぜひ覚えることをおすすめします。

補足

Nテトラトニックスケールの命名は一般的なテトラトニックスケール(ドレミソまたはドミ♭ファソ)に対して長調短調にニュートラルであることから頭文字をとってNとしました。

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