クラシックガットギター用のブラックナイロン黒色弦を見つけた
ウクレレなんかだと黒い弦はよくあるのですが、クラッシックギターやガットギターだとほとんどが透明な弦でブラック弦はあまり見かけません。
よく使ってるaNuenueのバードギター(aNN-MN14)にはサバレスアライアンスのフロロカーボン(透明色)を張ってあったのですが、ちょうど張り替えタイミングになったのウクレレっぽい黒弦はないかなと探したところ1つだけ製品を見つけたのでレポートします。
目次
アーニーボール ブラックアンドシルバー
概要
アメリカの南カルフォルニアのメーカーです。Yahooショッピングで入手できました。
アルミの包装を開いてみてびっくり。中の個装のデザインが寸分違わないので、開いたのかどうかもわからない金太郎飴設計。
ElementShieldパッケージ
パッケージ裏にはエリッククラプトンやジミー・ペイジ、スラッシュなど名だたる面々の名前が。南カルフォルニアは低湿度の環境なので弦作りに適しているとのこと。ElementShieldパッキングが湿度を寄せ付けないらしいです。確かに気密性は高そう。
弦の見分け方
中の個装を見てびっくり。なんと弦のマーカーやシールも一切ないので、どれが何弦なのか全くわからないという。開いて太さをみてねって事なのでしょうか。なかなか上級者向けのアメリカンな製品思想です。
間違い探しの様に比べてみたら1箇所だけ違いを発見しました。バーコードの末尾の1桁。これが弦番号を指しています。
1弦 ブラックナイロン
早速1弦を開いてみます。そういえば前に「・・・BLACK」とか「・・・RED」という弦が楽器屋で売られていて買ってみて、色付き弦にしようとホクホクで購入したところ、中を開いたら単なる透明弦で、単なるブランド名だった苦い思い出が。ウィスキーの名前みたいなもんですか。
ちゃんと黒でした!かっこいいです。早く張りたい。
6弦 巻き弦
ちなみにこちらは6弦の巻弦側。シルバーの色が白く鮮やかです。ブラックナイロンとのコントラストが楽しみです。
ガットギター弦のカッコいい(けどちょっと危険な)張り方
余談ですが前にオークションで買った中古のガットギターの弦の前のオーナーの張り方がなかなかカッコ良かったのでついでに紹介します。(ちょっと危険な張り方なのでやる場合は自己リスクで。)
マスキングテープは必須
まずマスキングテープをブリッジ下に張ります。出来れば5重くらいに。多ければ多いほどいいです。
クラシックやガットギターで一番怖いのは「弦抜け」とくに作業中にブリッジ側の固定がいきなり外れると「ムチ」の様に容赦なくギタートップを弦がエグリます(経験談)
マスキングデープはお守りです。
古い弦の取り外し
いきなりニッパーでプチプチ切る方法もありますが、これは危険なのでやめましょう(やるなら十分に緩めてから)
外す時は、このハンドルがあると便利です。その名も「アルトベンリー」これホントの話です。とはいえ本家がそうなだけで互換品はちがうでしょうけど。灯油ポンプの「醤油チュルチュル」的ですね。
全部ネック側から外しました。抜く時にトップ板にふれる可能性があるのでまだマスキングはとりません。ネック側から押し込むよう緩めて弦を全部抜きます。
ついでに清掃
きれいに取れました。ついでにクリーニングしましょう。弦を外した時が一番清掃が楽です。
オレンジオイルで指板を潤滑
オレンジオイルで指板を拭き取りながら潤します。これ、賛否両論でフレットの接着に良くないという説や乾かしていた方がいいという説もありますが、未だかつてオレンジオイルで指板が割れたりフレットが取れたりというのは聞いたことないのと、なにより「ローズ指板は黒光りしてるほうがかっこいい」ので、私はいつも使っています。
ティッシュに少量とって指板を拭き取ります。黒い手垢がごっそりとれて気持ちいいです。このハワードのオレンジオイル、ほんとうに1回数滴しか使わないので、このギターの指板だけだとボトルで一生分くらいありそう。オレンジの香りが爽やかです。家具とか木材全般に使えます。
クリーナーでボディー清掃
クリーナーはアリアプロのスーパーブライトを使っています。
これまた賛否両論。「乾拭きが一番」という説もありますが、、、。
私はこの「光沢」がいいのでスーパーブライト派です。特にこれで塗装を痛めた事はありません。(オレンジオイルなど溶剤系でボディを磨くのはNGなのでやめましょう)
乾拭きじゃないので、油汚れも綺麗に落ちます。ブリッジの接合部分の隙間も忘れずに。
ブラック弦の取り付け
マスキング
清掃時にマスキングを外しましたが再度とりつけます。剥がしたのと同じものでOKです。
こうやって弦先を出した時の接触も防止できます。
編み方
これが、上記の中古ギターの前のオーナーがやっててカッコイイなと思ったブリッジへの固定方法。
巻き込みは1弦は3巻、2弦・3弦は2巻程度に少なくして余った弦を次の弦に重ねていく方式です。これなら最小の巻き数で効率よく固定出来るというわけですね。1弦が最初なのは一番抜けやすい為です。3-6弦は巻弦なので1巻で十分ですが、このやり方は見た目がスッキリする反面、最初のチューニングが終わるまではバチっと弦抜けしやすい危険性がありますので、マスキングテープは念入りに貼っておきましょう。
テンションをかけながら
これは基本ですが、弦はテンションをかけながら巻きます。緩んだ状態でペグだけで引っ張ると、最初の固定が緩いのでかなり抜けやすくなります。やや強めにグッグッと引っ張りながらナイロンを伸ばすイメージで巻き込んで行きましょう。
弦のカットについて
弦はすぐカットしたくなりますが、抜けた場合にギリギリの長さだとまた張れなくなるので安定するまではカットは我慢。
ブリッジ側完成形。抜けそうで抜けないのがポイント(テンションがけを失敗してなければ)
チューニング
この危うい(笑)弦の取り付け方。最初のチューニングが一番抜けやすいので慎重に。まずは半音下げくらいから様子を見ましょう。
大黒柱の6弦から順に1番に向かっていきます。
下の危険な「兆候」が出たらすぐに手を止めて弦を最大に緩めて最初からしてください。
- ベグを1/3くらい回転させたのにチューニングメーターが動かなかった
- ペグを巻いてるのに、さっきより音程が少しでも下がった
- 他の弦より明らかにペグの巻きとチューニングメーターの上がりが遅い
ブリッジ側の固定が最低限なので、最初のテンションのかけかたが悪いと微量ずつズレてきて最後には抜けてしまい「ムチ」がトップに激突します。
最初の1週間くらいは上を肝に銘じて慎重にチューニングするようにしましょう。
アーニーボール ブラックアンドシルバーの感想
ということで余談が長くなりましたがブラック弦になりました。
音質
サバレスアライアンスと比べてまず感じたのは「音量の大きさ」です。単純に同じ強さで弾いても明らかに音量がでています。音質は厚みがある感じです。
巻弦との調和
ガットキターは4-6弦がスチールの巻弦で1-3弦がナイロン系なので、その境界であきらかな音色の違いがでてしまいますが、アーニーボール ブラックシルバーはその境界がほとんど気にならないのが気に入りました。
ナイロン側が元々太い音質なのでそう感じるのかも知れません。あと巻源の表面の滑らかさも関係してそうです。
テンション
音量の割にテンションが低く、バレーコードでも簡単に押さえることができます。テンションが弱く綺羅びやかな音というのはアーニーボールの特徴らしいですね。
高音側
ただサバレスアライアンスの方が明らかに優れていると感じたのは13弦より上の高音域。これはさすがにフロロカーボンに分がありそうで、アーニーボールの方がはちょっと高音の鋭さが物足りないかな?という印象。カッタウェイがなかったり12弦接続のクラシックギターだと多分気にならない音域だと思います。
まとめ
ということで数少ないクラシックギター・ガットギター用のブラック弦、アーニーボールブラックアンドシルバーのレビューでした。目立つのはもちろんのこと、黒なので透明ナイロンのような段々「濁って」来るようなこともないので、なかなか合理的な選択だと思いますよ。(安いですし)
aNueNueバードギターについて
ちなみに上で交換したのが台湾aNueNueのバードギターaNN-MN14です。aNueNueといえばウクレレで有名ですが、このバードギターシリーズも素晴らしく、独特のデザインと弾きやすさで人気があります。aNN-MN14はナイロン弦モデルでカッタウェイも入っているので高音弦も引きやすくソロギター派にはおすすめの1本です。サウンドホールが上にあるので、「自分が一番いい音を聴ける」というのが他にない特徴ですね。