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日本語がもっともっと好きになる文書表現の技法(レトリック)集


目次

  1. 隠喩
  2. 直喩
  3. 擬人法
  4. 共感覚法
  5. くびき法
  6. 換喩
  7. 提喩
  8. 誇張法
  9. 緩徐法
  10. 曲言法
  11. 同語反復法
  12. 撞着法
  13. 椀曲法
  14. 逆言法
  15. 修辞的疑問法
  16. 含意法
  17. 反復法
  18. 挿入法
  19. 省略法
  20. 黙説法
  21. 倒置法
  22. 対句法
  23. 声喩
  24. 斬層法
  25. 逆説法
  26. 諷喩
  27. 反語法
  28. 引喩
  29. パロディ
  30. 文体模写法
  31. おわりに
  32. コメント

隠喩

類似性にもとづく比喩である。「人生」を「旅」に喩えるように、典型的には抽象的な対象を具体的なものに見立てて表現する。

人生は旅だ。彼女は氷の固まりだ。

別名

暗喩、メタファー(metaphor)

直喩

「〜のよう」などによって類似性を直接示す比喩。しばしばどの点で似ているのかも明示する。

ヤツはスッポンのようだ。

別名

明喩、シミリー(simile)

擬人法

人以外の物を人間に見立てて表現する比喩。隠喩の一種。ことばが人間中心に仕組まれていることを例証する。

社会が病んでいる。母なる大地。

別名

パーソニフィケーション(personification)

共感覚法

触覚、味覚、嗅覚、死角、触覚の五感の間で表現をやりとりする表現法。表現を貸す側と借りる側との間で、一定の組み合わせがある。

深い味。大きな音。暖かい色。

別名

シネスシージア(synesthesia)

くびき法

一本のくびきで二頭の牛をつなぐように、一つの表現を二つの意味で使う表現法。多義語の異なった意義を利用する。

バッターも痛いがピッチャーも痛かった。

別名

ジューグマ(zeugma)

換喩

「赤ずきん」が「赤ずきんちゃん」を指すように、世界の中での、ものとものとの隣接関係にもとづいて指示を横滑りさせる表現法。

鍋が煮える。春雨やものがたりゆく藁と傘。

別名

メトニミー(metonymy)

提喩

「天気」「いい天気」を意味する場合があるように、類と種の間の関係にもとづいて意味範囲を伸縮させる表現法。

熱がある。焼き鳥。花見に行く。

別名

シネクドキ(synecdoche)

誇張法

事実以上に大げさな言いまわし。「猫の額」のように事実を過小に表現する場合もあるが、これも大げさな表現法の一種。

一日千秋の思い。白髪三千丈。ノミの心臓。

別名

ハイパーバリー(hyperbole)

緩徐法

表現の程度をひかえることによって、かえって強い意味を示す法。ひかえめなことばを使うか、「ちょっと」などと添える。

好意を持っています。ちょっとうれしい。

別名

マイオーシス(meiosis)

曲言法

伝えたい意味の反対の表現を否定する事よって、伝えたい意味をかえって強く表現する方法。

悪くない。安い買い物ではなかった。

別名

ライトティーズ(litotes)

同語反復法

まったく同じ表現を結びつけることによってなおかつ意味をなす表現法。ことばの慣習的な意味を再確認させる。

殺人は殺人だ。男の子は男の子だ。

別名

トートロジー(tautology)

撞着法

正反対の意味を組み合わせて、なおかつ矛盾に陥らずに意味をなす表現法。「反対物の一致」を体現する。

公然の秘密。暗黒の輝き。無知の知。

別名

大義結合、オクシモロン(oxymoron)

椀曲法

直接言いにくいことばを椀曲的に口当たりよく表現する方法。白魔術的な善意の物と黒魔術的な悪徳のものとがある。

化粧室。生命保険。政治献金。

別名

ユーフェミズム(euphemism)

逆言法

言わないと言って実際には言う表現法。慣用的なものから滑稽なものまである。否定の逆説的な言い方。

言うまでもなく。お礼の言葉もありません。

別名

パラレプシス(paralepsis)

修辞的疑問法

形は疑問文で意味は平叙文という表現法。文章に変化を与えるだけでなく、読者・聞き手に訴えかけるダイアローグ的特質をもつ。

袖をぬらす。ちょっとこの部屋蒸すねえ。

別名

レトリカル・クエスチョン(rhetorical question)

含意法

伝えたい意味を直接言うのではなく、あるひょうげkん空推測される意味によって間接的に伝える方法。会話のルールの意図的な違反によって含意が生じる。

いったい疑問の余地はあるのだろうか。

別名

インプリケーション(implication)

反復法

同じ表現を繰り返す事によって、意味の連続、リズム、強調を表す法。詩歌で用いられるものはリフレーンと呼ばれる。

えんやとっと、えんやとっと。

別名

リピティション(repetition)

挿入法

カッコやダッシュなどの使用によって、文章の主流とは異なることばを挿入する表現法。ときに「脱線」ともなる。

文は人なり(人は文なりというべきか)。

別名

パレンシシス(parenthesis)

省略法

文脈から復元できる要素を省略し、簡潔で余韻のある表現を生む方法。日本語ではこの技法が発達している。

これはどうも。それはそれは。

別名

エリプシス(ellipsis)

黙説法

途中で急に話を途絶することによって、内心のためらいや感動、相手への強い働きかけを表す。はじめから沈黙することもある。

「・・・・」。「ーーーー」。

別名

レティセンス(reticence)

倒置法

感情の起伏や力点の置き場を調整するために、通常の語順を逆転させる表現法。ふつう後置された要素に力点が置かれる。

うまいねえ、このコーヒーは。

別名

インヴァージョン(inversion)

対句法

同じ構成形式のなかで意味的なコントラストを際立たせる表現法。対照的な意味が互いを照らし出す。

春は曙。冬はつとめて。

別名

アンティセシス(antithesis)

声喩

音が表現する意味に創意工夫を凝らす表現法一般を指す。擬音語・擬態語はその例のひとつ。頭韻や脚韻もここに含まれる。

かっぱらっぱかっぱらった。

別名

オノマトペ(onomatopoeia)

斬層法

しだいに盛り上げてピークを形成する表現法。ひとつの文のなかでも、また、ひとつのテクスト全体のなかでも可能である。

一度でもこの位憎むべき言葉が人間の口を出た事があろうか。一度でもこの位呪わしい言葉が人間の耳に触れた事があろうか。一度でもこの位・・・。

別名

クライマックス(climax)

逆説法

一般に真実だと想定されていることの逆を述べて、そこにも真実が含まれていることを伝える表現法。

アキレスは亀を追い抜く事は出来ない。

別名

パラドクス(paradox)

諷喩

一貫したメタファーの連続からなる文章(テクスト)。動物などを擬人化した寓話(fable)はその一種である。

行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみにうかぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、又かくのごとし。

別名

アレゴリー(allegory)

反語法

相手のことばを引用してそれとなく批判を加える表現法。また、意味を反転させて皮肉るのも反語である。

(0点に対して)ほんといい点数ねえ

別名

皮肉、アイロニー(irony)

引喩

有名な一節を暗に引用しながら独自の意味を加えることによって、重層的な意味をかもし出す法。本歌取りはその一例。

盗めども盗めども我が暮らし楽にならざる。(はたらけどはたらけどなお我が暮らし楽にならざり、に対して)

別名

アルージョン(allusion)

パロディ

元の有名な文章や典型パタンを茶化しながら引用する法。内容を換骨奪胎して、批判・おかしみなどを加える。

サラダ記念日。カラダ記念日。

別名

もじり(parody)

文体模写法

特定の作家・作者の文体をまねることによって、独自の内容を盛り込む法。文体模写は文体のみを借用する。

別名

パスティーシュ(pastiche)

おわりに

ここで紹介したレトリックは瀬戸賢一の「日本語のレトリック」に付いている巻末の付録の転載です。

レトリックに付いて書かれた本は、理論や歴史について書かれたものが多く、あまり実用的では無かったりしますが、この本はよくまとまっており、また、例文がわかりやすく、すぐに実践で利用できる内容です。

国語に興味がある人はもちろん、普段、文章を書く人全般に読んでもらいたい一冊です。

読んだ後は、自分の文章がひと味変わるのはもちろん、他の人の文章を読むときも、ああ、この表現はxxのレトリックだな、とより深く日本語を味わえる様になっていることでしょう。

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