定規とコンパスだけで足し引き掛け割りの四則演算をする(数学の思考パーツ集)

さんすうや数学を学ぶ時、単に数式の記号だけではなかなか理解しにくいものです。演算記号や変数は頭の中ですぐに消えてしまいます。最初に小学校で勉強した時は、たとえば「1+1=2」でも具体的なイメージとして「飴玉が1個と1個であわせて2つ」と習いましたね。具体的にイメージしながら数学を行っている時は左脳だけではなく右脳もフル活用されます。そんな飴玉を始めとする「思考の数学パーツ」を幾つか頭の中に準備しておくと便利そうです。

ここでは基本的な演算である加算・減算・乗算・除算をイメージしやすい様にコンパスと(直角と単位の計れる)定規で行う方法を紹介します。また最小公倍数/最大公約数/剰余(mod)とその合同、不完全ですが累乗演算のイメージも掲載しました。

加算(X+Y)

X(2) Y(3) X+Y(4)
  1. 直線を引きます
  2. コンパス巾をXにセットして直線上に原点からXの長さの点をとります。
  3. コンパス巾をYにセットして(2)の点からYの長さをのばした点をとります。
  4. 原点から(3)の点までの長さが(X+Y)です。

減算(X-Y)

Y(3) X-Y(4) X(2)
  1. 直線を引きます
  2. コンパス巾をXにセットして直線上に原点からXの長さの点をとります。
  3. コンパス巾をYにセットして(2)の点から_原点の方向に_Yの長さをのばした点をとります。
  4. 原点から(3)の点までの長さが(X-Y)です。

乗算(X*Y)

1 Y(3) X(2)X*Y(4)
  1. 直線を引き長さ1の巾にしたコンパスで原点から点をとりそこから垂直に線を上げます。
  2. コンパス巾をXにセットして(1)の垂線と交わる点をとり、そこに重なる様に原点から線を引きます。
  3. コンパス巾をYにセットして最初の水平線上に原点から点をとり、垂直に線を上げます。
  4. (3)の線と(2)の線が交わる点と原点との長さがX*Yとなります。

(Xが正で1未満の場合は水平線と斜め線を入れ替えて考えます。Xが負の場合は斜め線を下方向に考えます。)

除算(X/Y)

1 Y(3) X/Y(4) X(2)
  1. 直線を引き長さYの巾にしたコンパスで原点から点をとりそこから垂直に線を上げます。
  2. コンパス巾をXにセットして(1)の垂線と交わる点をとり、そこに重なる様に原点から線を引きます。
  3. コンパス巾を1にセットして最初の水平線上に原点から点をとり、垂直に線を上げます。
  4. (3)の線と(2)の線が交わる点と原点との長さがX/Yとなります。

(XがY未満の場合は水平線と斜め線を入れ替えて考えます。Xが負の場合は斜め線を下方向に考えます。Yが負の場合は原点から反対方向に考えます)

剰余のイメージ(X mod M)

  1. 円周がMの円と長さがXの紐があるとします。
  2. Mの適当な点を原点とし、そこに紐を巻き付けます。何周しても構いません。
  3. ぴったり巻き付けた原点からの余りが剰余(XmodM)です。なお周回数は商となります。

複数の紐があり、同様に巻き付けて余りの長さが同じ場合、それらは合同となります。

最大公約数(GCD X Y)のイメージ

X Y GCD(X,Y)*GCD(X,Y)
  1. 水平X、垂直Yのタイルを作ります。
  2. それぞれの辺より小さく、ぴったり敷き詰められる正方形を探します。
  3. (2)の正方形の1辺がXとYの最大公約数(GCD)です。

最小公倍数(LCM X Y)のイメージ

LCM(X,Y) LCM(X,Y) X*Y
  1. 水平X、垂直Yのタイルを作ります。
  2. それぞれの辺より大きく、(1)のタイルがぴったり敷き詰められる正方形を探します。
  3. (2)の正方形の1辺がXとYの最小公倍数(LCM)です。

累乗のイメージ(X^N)

累乗の概念を頭の中で容易にイメージする方法は今の所これといったものがありません。 対数を使って乗算のようにとらえるしかなさそうです。

log(e)=1 N log(X) log(X^N)
  1. 直線を引き長さ1の巾にしたコンパスで原点から点をとりそこから垂直に線を上げます。
  2. コンパス巾をlog(X)にセットして(1)の垂線と交わる点をとり、そこに重なる様に原点から線を引きます。
  3. コンパス巾をNにセットして最初の水平線上に原点から点をとり、垂直に線を上げます。
  4. (3)の線と(2)の線が交わる点と原点との長さがlog(X^N)となります。自然対数の底eをこの値で累乗することで目的の値が得られます。

(Xがe未満の場合は水平線と斜め線を入れ替えて考えます。Yが負の場合は原点と反対方向に延長して考えます。Xが負の場合は対応していません。)

結局、最後の答えを求めるのに累乗が必要という堂々巡りになってしまいました。 この辺りに人間の直観の限界を感じます。なにか知恵があればご教授ください。

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