写真について:基本の10大構図法をそれぞれの特性と実例で徹底解説

写真や絵を描く時に最も重要な要素である構図。その10大構図法について実例を交えながら解説します。

はじめに

今回はいつものパワースポットではなく写真の話です。僕は色々な場所に行って写真を撮ったり絵を描いたりするのが好きです。

絵を描くのも写真を撮るのもその良し悪しを決める一番大事なことは同じ、それは「構図」です。

どんなに素晴らしい被写体で高価なカメラや絵の具を使ってどんなに丁寧に撮ったり描いても最初の「構図」が出来てないと全く印象的にならずただの記録になってしまいます。

写真や絵が「単なる記録」なのか「芸術」なのかを決める大きな一つの要素が「構図」なのです。

パワスケ

そんなの芸術的センス次第なのでは?

と思えますが、実は将棋の定石のように構図というのはほとんど決まりきっていて(直感センスで決める人もいるでしょうが、)基本は「10の構図中から選ぶ」、ただそれだけです。

ただ風景は大抵は動いてくれないので自分がその構図になる位置まで動いたりレンズを交換したりそういった労力は当然必要です。

ここではそんな基本である10大構図について実例を交えながら解説していきます。

三分割法

三分割法の作例

画面を三分割にし、どちらか3分の1の箇所に一番表現したい物(主題)を置く方法です。

デジタルカメラだとガイドライン表示で3x3の線が出ますので、ただそれに合わせて撮るだけです。

ものに注目するときは肉眼では単純に真ん中に見ます、写真や絵を描くときもなんとなく真ん中にしたくなってしまいますが、それでは「記録的」な構図になってしまいます。

少しずらして3分の1の箇所に置く、ただそれだけで「芸術的」な構図になるのです。

なぜそうなるかと言うと、それは「記録的」でないから。

パワスケ

記録的でない?

これは相互規定です。右と左の区別と同じで、右でない方が左で左でない方が右であると言う規定です。なぜなら記録が目的なら、まず真ん中に撮ったり描いたりしますよね。そうでないから「記録的でない」つまり「芸術的」になると言う訳です。

作例では横に3分の1ですがこれは縦でも同じことが言えます。

黄金分割法

黄金分割法の作例

三分割法と似ていますがさらに被写体をやや中央に寄せた構図です。黄金比とは約1.618:1の比率のことで、三分割法でいう2:1よりもやや広い部分が狭く設定されています。

古代ギリシャより最も調和的で美しい比とされてきたこの黄金比は長方形を分けた時に元の辺の比率と大きい方に区切った比率、大きい方に区切った比率と小さい方に区切った比率が同じになることで定義されていて、正確には1+ルート5:1となります。

パワスケ

そんなに中途半端な数が美しい比?

実は黄金比はそれほと中途半端な比ではないのです。少数や分数で(つまり1との比率)で表すと複雑な数になりますが、例えば自分が細胞だとして、まず自分のコピー細胞を作る、そのコピーと自分を合わせた長さを参考にしてそれを1片とする少し大きなコピー細胞を作る。今度はその少し大きな細胞と自分たちを合わせた長さを参考にしてそれを1片とするコピー細胞を作る・・・ということを繰り返すとだんだん黄金比に近づいていくのです。なので自然界には自分自身を物差しとして作られた黄金比の渦巻き模様が多く見られると言うわけです。

そんな自然界で進化してきた人間に「自然な比」を美しいとする感受性があるのも全然不思議なことではないと言うわけですね。

ちなみに作例は一番目立つビーナスの臀部が縦横共に黄金比の位置になっています。自然の比は絵の安定感を作り出します。

二分割法

二分割法の作例

先ほど、「真ん中に主題を置くと記録写真みたいになる」って言いましたよね。ところがこの二分割法はちょうど真ん中で区切ります。どうしてでしょう。

答えは「」ではなく「」を表してるから。

地平線や水平線を撮る時に空を主とするか海や陸を主とするかで三分割させたり黄金分割させたりします。その延長で、空でもなく陸梅でもない「両方の一体感」を表現したい時はあえて真ん中の2分の1の地点で区切り、その「線」を表現するのが二分割法の目的です。記録写真で「線」は撮りません。なので「線」が主題の場合は例外的に記録的にはならないので二分割地点で区切ってもアリというわけです。

対角線構図

対角線構図の例(遠近の表現)

写真や絵というのは大抵は四角の中に構図をおさめます。(丸いキャンバスもあるでしょうが。)対角線というのはその角と角を結んだ線です。

その対角線にピッタリ「線」を合わせるのが「対角線構図」です。

パワスケ

対角線構図も二分割と同じで線が主題?

これはケースバイケースでそうとも限りません。実際、水平線を対角線に合わせて撮ってもなんだか辺な絵になります。

対角線構図はどちらかと言えば「遠近感の強調」を目的として使います。人間の目はレンズになっていて遠くの物ほど小さく見えます。大きな四角い建物の横に立って奥を見た時、真っ直ぐのはずの建物の上側面は目には斜めに映って下方向に伸びているように見えます。これを絵で表現する時には「消失点」という位置を定めて奥に伸びる線はその消失点の方向に向かわせることで遠近感を表現します。

そしてこの対角線構図というのはその消失点を画面外にして斜めとなった奥行き線をちょうど絵の角と角を結ぶ対角線、つまり四角形の中で最も長距離の点と点に合わせることで、「最も長い距離」の遠近感を表現する手法というわけです。

また消失点を中央に持ってきてX(エックス)型に遠近感を表現するのも対角線構図の1種です。

対角線構図の作例2(線の表現)

ただもちろん「最も長い区間」である対角線を使って先のように「線」を表現するのもありです。最も長い区間である対角いっぱいに主題を置くことで迫力のある構図を表現することができます。

どちらにせよ「記録的」に対角線を使うことはまずないので、手軽に「強い芸術感」を表現できる手法です。

パワスケ

ならどうして水平線は対角線構図ではNG?

水平線地平線のように「本来水平であるべきもの」が斜めになっていると、確かに芸術的ではありますが、同時に「本能的違和感」も感じるからです。これは動物的感受性によるものです。特に地平水平線はわずかな傾きにも敏感に感じます。地平線水平線を撮るときは、なるべく水平器を用意しずれないように気をつけましょう。

山形構図

山形構図作例

文字通り三角形を描くようなどっしりとした山形の構図です。単純に主題を中央に置くのではなく、広角レンズを使って下を広く見せることで安定感を出します。ある種の高さとしての遠近感を出すという意味では対角線構図と似た面もあります。

パワスケ

品の良さよりも迫力優先という意味でも対角線構図と似ていますね。

そのものの存在感を出し、かつ「記録的写真/絵」には見せたくない場合は一番お手軽で効果が高い構図です。広角や魚眼レンズは動物や人を撮ったりするのには向きませんが、こういった「近づけるモノ」を撮るのにはぜひオススメしたいアイテムです。

日の丸構図

日の丸構図の作例

日の丸構図は最もシンプルかつ最も難しい構図と言えるでしょう。日の丸の旗の様に単純に主題を真ん中に配置します。特徴はズバリ主題のわかりやすさ。誰が見てもそれが主題だとハッキリとわかります。

パワスケ

最も難しいというのは?

その難しさは「記録的な写真になりやすい」ということ。構図を工夫する目的は単純に真ん中に撮ると記録写真と同じで芸術感が無くなるからわざとずらす事です。それをあえて主題を真ん中に、かつ「記録的」にしないというのは理論を超えた難しさがあります。

「芸術的に」日の丸構図を撮る事こそが先に書いた「センス」の世界なのかもしれません。

対称構図

対称構図の作例(垂直)

左右・もしくは上下に対称(シメトリック)に配置する構図です。

人間は2つ以上あるものを意味のあるものと認識します。自然界で物が垂直に綺麗に並んでいることはほとんど無く、それは注意の対象となります。また同じく注意の対象となるべき他の動物は大抵左右対称です。対称構図は見た人に何らかの意味のあるものと思わせる事ができます。

対称構図の作例(水平)

水面は自然が作る対称構図です。それは紙にインクを垂らして紙をたたんで開いてみるロールシャッハテストの様に片方だけとはとはまた違った印象を相手に与えます。もちろんこれは二分割法の一種にもなります。

対比構図

対比構図の作例

対称構図と似ていますが、こちらは対比構図、つまり「比べさせる」構図です。

パワスケ

構図とは言っていますがどちらかというと「主題の選び方」の方法と言えますね。

レイアウト自体は対称構図と同じく二分割、もしくは対角線を使った斜め二分割がよく使われます。

垂直構図

垂直構図の作例

垂直構図は杉林がよく例に挙げられますがあえて変わったものを。垂直線を強調し意識させる構図です。これも他と排他なものでは無く、あくまで「水平構図」に対して「垂直構図」があり他の構図と重なり合うものと考えてください。地面が水平である以上、どうしても水平な線が多くなるので、あえてそれを外して縦線を強調する手法でとも言えるでしょう。

特徴は「力強さの表現」並んだ柱や樹木、垂直なものには力強さあります。力がないと立っていられません。それを強調するために水平線をあえて画面外にする、もしくは垂直なもの(木や柱)を多く並べる事で「垂直構図的」な構図となります。

S字型構図

S字型構図の作例(川)

S字型構図は「道」や「川」を撮ったり描いたりする時の定石とも言えるでしょう。文字通り道や川がエスの字に見えるポイントを探します。どうして単純なカーブや直線ではダメなのでしょう。

それは「安定感」と「柔らかさ」です。カーブで撮るとどうしても全体のバランス感が失われます。かと言って直線では自然の川として不自然。そこでS字型構図のポイントを探すというわけです。

とはいえ実際はなかなかちょうどいい場所は見つからないものです。川の場合は入れる場所も限られてきます。

最後に

という事で写真や絵の構図の基本10の特徴を実例を交えて説明してきました。お分かりの通りそれぞれは別のものでは無く「組み合わせて考える」という事に注意してください。

S字型構図のところでも書きましたが、写真は撮るのは一瞬ですがこうやって構図を作るための移動にはかなりの時間や知恵を使うものです。

そんな一枚一瞬の構図の為に何十分何時間もかける事、これが写真の難しさでもあり、良い構図を得られた時の満足感へと繋がります。

写真は足で撮るとよく言われますが、まさにその通りですね。最高の一枚の場所に巡り会える事を祈ります!

この記事を見た人がよく読んでいる記事

おすすめの本

トップページ

人に教えたくない北陸パワースポットガイド > 写真について:基本の10大構図法をそれぞれの特性と実例で徹底解説