送電鉄塔用語集

随時追記2019/11/8更新

目次

  1. あ行
    1. アーキングホーン
    2. アイビーガード
    3. アーマーロッド
    4. 1番鉄塔(いちばんてっとう)
    5. 赤白鉄塔(あかしろてっとう)
    6. アベック鉄塔(あべっくてっとう)
    7. アンダークロス(あんだーくろす)(→交差)(←→オーバークロス)
    8. V字懸垂(ぶいじけんすい)(→懸垂碍子)
    9. 腕金(うでがね)
    10. 衛星写真(えいせいしゃしん)
    11. S/S(えすえす)(=変電所)
    12. SW/S(えすだぶりゅーえす)(=開閉所)
    13. 烏帽子鉄塔(えぼしてっとう)
    14. 老番(おいばん)(←→若番)
    15. オーバークロス(おーばーくろす)(→交差)(←→アンダークロス)
    16. OPGW(オーピージーダブリュー)(→架空地線)
    17. 踊場(おどりば)
    18. オフセット
  2. か行
    1. 碍子(がいし)
    2. 開閉器(かいへいき)
    3. 開閉所(かいへいじょ)
    4. 回線札(かいせんふだ)
    5. カウンターウエイト(=ねじれ防止ダンパ)
    6. 架空送電線(がくうそうでんせん)
    7. 架空地線(がくうちせん)
    8. 角度鉄塔(かくどてっとう)(←→直線鉄塔)
    9. カテナリー曲線(かてなりーきょくせん)
    10. カルマン風(かるまんふう)
    11. 関電分け(→ドラキュラ鉄塔)
    12. 基(き)
    13. ギャロッピング
    14. 環境調和鉄塔(かんきょうちょうわてっとう)
    15. 矩形鉄塔(くけいてっとう)
    16. 経間(けいかん)
    17. 系統(けいとう)
    18. 結界(けっかい)
    19. 懸垂碍子(けんすいがいし)(←→耐張碍子)
    20. 限流アークホーン(げんりゅうあーくほーん)(=避雷器)(→アーキングホーン)
    21. 行進(こうしん)
    22. ゴイスー鉄塔(ごいすーてっとう)
  3. 交差(こうさ)
    1. 交差鉄塔(こうさてっとう)(→併架鉄塔)
    2. 航空障害灯鉄塔(こうくうしょうがいとうてっっとう)
    3. 鋼管鉄塔(こうかんてっとう)(←→山形鋼鉄塔)
    4. 地理院地図(ちりいんちず)
    5. コロナ放電(ころなほうでん)
  4. さ行
    1. 三相交流方式(さんそうこうりゅうほうしき)
    2. GIS(じーあいえす)(→開閉器)(←→気中絶縁)
    3. 支線(しせん)
    4. 支線ガード(しせんがーど)
    5. 支柱(しちゅう)
    6. ジャミラ型鉄塔(じゃみらがたてっとう)
    7. ジャンパー
    8. 重角度鉄塔(じゅうかくどてっとう)(→角度鉄塔)
    9. 十字材鉄塔(じゅうじざいてっこう)(→山形鋼鉄塔)
    10. 巡視路(じゅんしろ)
    11. 周波数変換所(しゅうはすうへんかんじょ)
    12. シングルテーパー(←→ダブルテーパー)
    13. スペーサー
    14. ステージ(←→腕金)
    15. 装柱(そうちゅう)
  5. た行
    1. 耐張碍子(たいちょうがいし)(←→懸垂碍子)
    2. 多導体(たどうたい)
    3. 直線鉄塔(ちょくせんてっとう)(←→角度鉄塔)
    4. D型鉄塔(でぃーがたてっとう)
    5. ダブルテーパー(←→シングルテーパー)
    6. 鍛造フランジ継手(たんぞうふらんじつぎて)(→鋼管鉄塔)
    7. 地中送電線(ちちゅう送電線)(←→架空送電線)
    8. 直流方式(ちょくりゅうほうしき)(←→三相交流方式)
    9. 鉄(てつ)
    10. 電圧(でんあつ)
    11. 塔高(とうこう)
    12. 独立線路(どくりつせんろ)(←→併架)
    13. トーショナルダンパー
    14. ドナウ型鉄塔(どなうがたてっとう)
    15. 塔マップ(とうまっぷ)
    16. ドラキュラ鉄塔(どらきゅらてっとう)
    17. トラス構造(トラスこうぞう)(←→ラーメン構造)
  6. な行
    1. 難着雪リング(なんちゃくせつりんぐ)
    2. ねじれ防止ダンパ(ねじぼうしだんぱ)
    3. 捻架(ねんが)
    4. π引き込み(ぱいひきこみ)
    5. バイブレスダンパ
    6. バランス耐張型
    7. 番号札(ばんごうふだ)
    8. のいち番号(のいちばんごう)
  7. は行
    1. BTB(びーてぃーびー)
    2. 引き上げ鉄塔(ひきあげてっとう)(→D型鉄塔)
    3. 引き下げ鉄塔(ひきさげてっとう)(=引き上げ鉄塔)(→D型鉄塔)
    4. 引留鉄塔(ひきとめてっとう)
    5. ピン碍子(ぴんがいし)(→碍子)
    6. プレート(=銘板)
    7. 併架(へいが)(←→独立線路)
    8. 変圧器(へんあつき)
    9. 変電所(へんでんじょ)
  8. ま行
    1. 銘板(めいばん) (=プレート)
  9. や行
    1. 山形鋼鉄塔(やまがたこう)(←→鋼管鉄塔)
    2. ヤード
  10. ら行
    1. LP碍子(らいんぽすとがいし)(→碍子)
    2. レガシー鉄塔(れがしーてっとう)
    3. レジェンド(=レガシー鉄塔)
  11. わ行
    1. 若番(わかばん)(←→老番)
  12. 参考リンク

あ行

アーキングホーン

アーキングホーン

碍子の両端に取り付けられるパーツ。落雷時に電圧を地面方向に逃がす(アークさせる)役割を持つ。

アイビーガード

ツタ植物が電柱の支線をつたってこないように防御するパーツ。電柱用語。

アーマーロッド

カルマン風対策用の部品。碍子の電線接続部に取り付けられる。

1番鉄塔(いちばんてっとう)

送電線系統は変電所または発電所から出て1番鉄塔から始まる事が多い。気になる送電系統の番号順に追いかけて1番鉄塔を目指すのは鉄塔探訪の一つの楽しみ方であり小説鉄塔武蔵野線はそれがテーマとなっている。ただし現実にはその先に0番鉄塔があったり0-1鉄塔があったり、1番鉄塔自体変電所の中で見れない(確認できない)場合もある。

赤白鉄塔(あかしろてっとう)

赤白鉄塔(加賀福光線3番)

上から赤白赤白赤白赤で塗り分けられた鉄塔。航空法により地上より60mを超える建造物の場合はペイントしなければならないと定められている。周囲の峰や同目的の建造物などにより免除される場合もあれば反対に60m以下でも土台の高さによりペイントが必要とされる場合もある。

アベック鉄塔(あべっくてっとう)

同じ形の鉄塔が隣接して並んで立っている鉄塔。変電所への引き留め鉄塔に多い。π引き込み(ぱいひきこみ)も参照。

アンダークロス(あんだーくろす)(→交差)(←→オーバークロス)

送電線同士の交差において主体が下を通っている状態。

V字懸垂(ぶいじけんすい)(→懸垂碍子)

懸垂碍子の一種。碍子が2列V字型に腕金より接続されている。横幅のスペースを狭くつくれるので用地の都合にも対応できる。

V字懸垂に対して垂直一本の碍子をI字懸垂と呼ぶこともある。

腕金(うでがね)

送電鉄塔から横に伸びて碍子を経由して架空送電線を支えているパーツ。

衛星写真(えいせいしゃしん)

GoogleやYahooなどが提供している航空写真を指す。実際に鉄塔が写り込んでるので存在は確認できるが、電線のつながりは解像度の低い地域では確認できない場合もある。地理院地図・塔マップと併用して系統と鉄塔を特定する。

S/S(えすえす)(=変電所)

変電所と同義語。(Electronical)SubStationの頭文字をとってSS。鉄塔マニアがこれを使い出すと素人排除モードになっている。

SW/S(えすだぶりゅーえす)(=開閉所)

開閉所と同義語。SWitching Stationの略。もはや開閉所と言ったほうがが速い気がするが、S/Sと同様の素人排除効果がある。

烏帽子鉄塔(えぼしてっとう)

烏帽子形鉄塔の例

1回線(3本)用の鉄塔。3本が水平に架けられている。避雷用の架空地線が上に2本あり猫の耳を思わせる。

老番(おいばん)(←→若番)

鉄塔番号の高い方向を表す相対的名称。鉄塔探訪中、老番方向がわからない場合は足の「プレート」を探せば、それと反対方向が老番であることが多い。

資料がない状態で老番方向に鉄塔を番号順に追う行為はどこで終わるかわからないという「青天井」リスクを伴う。小説鉄塔武蔵野線では若番方向に番号追いしている。

オーバークロス(おーばーくろす)(→交差)(←→アンダークロス)

送電線同士の交差において主体が上を通っている状態。

OPGW(オーピージーダブリュー)(→架空地線)

鉄塔の一番上、避雷用の架空地線の中に通信用光ファイバーを内蔵したケーブル。収納された光ファイバーの本数を心数と呼ぶ。

踊場(おどりば)

鉄塔の中腹に取り付けられている事がある踏み台。

オフセット

降雪地域の鉄塔で腕金の長さが均一ではなく、降雪対策で長さを変化させている設計。

か行

碍子(がいし)

鉄塔と電線の間を絶縁する白い数珠のような部分。磁器製がよく用いられるが他の材質(ガラスや合成樹脂)のものも存在する。

高圧な送電線ほどたくさんの碍子が必要となる。鉄塔の碍子は10個ごとに黒玉が入っているので数えるのが容易。(玉数-2)x20kvが絶縁性能の目安。例えば30個以上なら28x20で560kvといった具合。

開閉器(かいへいき)

変電所・開閉所内設備。電気を遮断するスイッチ。断路器・遮断器に分けられ、断路器は電流が流れていない場合に使用する。

遮断器器は高圧アーク放電に対応する為に油・真空・ガス・磁気などを用いる場合がある。

電柱にも付いており柱上開閉器と呼ぶ。

過電流に対応して遮断するものをヒューズやカットアウトと呼ぶ。

開閉所(かいへいじょ)

変電はせずに中継を行う施設。異なる電力会社間の送電系統の接続部に設けられている他、同じ管内でもスイッチとして設けられている場合もある。変電所との違いは中には変圧器が存在しないこと。

回線札(かいせんふだ)

銘板(プレート)は系統毎に鉄塔の足元に取り付けれているが、回線札は回線毎に腕金の根本に取り付けられている。

多くの送電系統は2回線(3本x2)だが、4回線3系統の時など1回線系統を区別するのに参照する事が多い。

2回線の系統でもXX線1/XX線2と区別されているのがわかる。

カウンターウエイト(=ねじれ防止ダンパ)

降雪地域において着雪で送電線が捻れるのを防ぐための部品。送電線に取り付けられている。

架空送電線(がくうそうでんせん)

いわゆる電線・送電線。電気を送る為のケーブル。高圧鉄塔では3本で一組でこれを1回線と呼ぶ。銅が理想だがコストの都合でアルミが用いられる事が多い。

変電所と変電所を結んでおりそれぞれ系統には名前が付けられている。空中に保つ為に高圧鉄塔で支えられておりそれぞれの鉄塔には番号が割り当てられている。

この送電系統名と鉄塔番号を知りを辿るのが鉄塔探訪の醍醐味である。

架空地線(がくうちせん)

送電線(架空送電線)とは別に鉄塔の頭の部分を渡っている比較的細い線。避雷針の役目がある。1本の場合、2本の場合、3本の場合があり架空地線の数が鉄塔の頭部の形を決めると言ってもいい。

中心には通信用の光ケーブルが通っている場合が多く、光ファイバ複合架空地線(OPGW)と呼ぶ。

角度鉄塔(かくどてっとう)(←→直線鉄塔)

送電線を曲げている鉄塔。腕金が同一水平線に対して3本や4角型になっている事が多く、バリエーションが多様で鉄塔マニア受けする。

カテナリー曲線(かてなりーきょくせん)

鉄塔同士の経間の間の送電線が描く曲線。

カルマン風(かるまんふう)

微風により秒速5m以下の風が一様に電線に当たるとその背後に渦(カルマン渦)が生じ電線が上下運動する現象。テーパーアーマーロッドやバイブレスダンパで対策する。

関電分け(→ドラキュラ鉄塔)

ドラキュラ鉄塔の一種。直交した送電線に並行して腕金を伸ばして引き下ろす為、土地の節約になる設計。

基(き)

鉄塔の数を表す数詞。1本2本・・・でももちろんいいが、1基2基・・と数えると通っぽさが増すのでおすすめ。

ギャロッピング

降雪地域で電線に着氷し断面非対称になり風により上下運動する現象。短絡の危険がありスペーサーやねじれ防止ダンパが対策として取り付けられる

環境調和鉄塔(かんきょうちょうわてっとう)

街や公園などの景観に配慮して出来るだけ調和されるデザインにされた鉄塔。

矩形鉄塔(くけいてっとう)

矩形鉄塔

1回線(3本)用の鉄塔。山間部などで2回線が分けられて1回線ずつになっている部分に多い。その場合は甲と乙で番号札が付けられている。

経間(けいかん)

鉄塔と鉄塔間の間。長すぎると送電線重量が重くなりカテナリー曲線が強くなるか鉄塔の必要耐張性が高くなる。スパン。

系統(けいとう)

送電系統。変電所(あるいは発電所)間を結ぶ回線の束の名称。変電所間の途中で系統は分岐して増える事はあっても途中で名前が変わることは基本的に無い。

結界(けっかい)

鉄塔の真下の空間。都市部では柵があり入れない事が多いが、山間部では自由に入れる場所もある。見上げると鉄塔独特の幾何学模様が眺められる。

鉄塔の真下から上にカメラを構えている人がいたら鉄塔マニアである可能性が高い。

懸垂碍子(けんすいがいし)(←→耐張碍子)

傘状の碍子がセメントで複数連結されているもの。伸ばす力により碍子同士が密着する構造になっている。

狭い意味では耐張碍子に対して鉄塔から下に垂れ下がったタイプの碍子を指す。(男鉄塔)

限流アークホーン(げんりゅうあーくほーん)(=避雷器)(→アーキングホーン)

避雷器

アーキングホーンに補助的につけられる筒状のパーツ。落雷時後に送電線から鉄塔への電流を遮断する。避雷器。

行進(こうしん)

鉄塔が送電線で繋がって行く様。実際に動いているわけではないが、隊列にになぞらえて。例:行進して行く/行進して来る

ゴイスー鉄塔(ごいすーてっとう)

すごい鉄塔、珍しい鉄塔の意。

交差(こうさ)

狭義には交差鉄塔を使った送電線の交差(交差鉄塔参照)

広義には送電線自体が別々の鉄塔で上下に交わる状態もも含んだ様。ちなみに多くの場合は古い送電系統の上に新しい送電系統が交差されるので古い送電系統は低い鉄塔が多いのはその為である。

交差鉄塔(こうさてっとう)(→併架鉄塔)

併架鉄塔の一種で系統が連続していないもの。2つの送電系統が1つの併架鉄塔で交わってまた別の鉄塔に分離する場合の交わっている併架鉄塔のこと

航空障害灯鉄塔(こうくうしょうがいとうてっっとう)

航空障害灯鉄塔(中央幹線63番最終)

航空法にて定められている夜間に照明が点灯される鉄塔。(60m以上:赤灯/90m以上:赤灯点滅/120m以上:白フラッシュ)とされている。

鋼管鉄塔(こうかんてっとう)(←→山形鋼鉄塔)

鋼管(パイプ)を使った鉄塔。山形鋼に比べ風に強い特性を持つ。難点は加工や組み立てがしにくいこと。

芯材により中空鋼管鉄塔、コンクリートを充填したMC鉄塔、コンクリートの芯の部分を中空にしたTP鉄塔がある。

地理院地図(ちりいんちず)

国土地理院が発行している地図の事を指す。インターネットでも参照可能で送電線がーーーー:ーーーー:ーーーーこのような線で表されている。鉄塔がどこにあるかまでは判断できないが系統のつながりを知る上で塔マップ・衛星写真と共に参考になる。

コロナ放電(ころなほうでん)

高電圧により空気による絶縁限界を越え放電してしまう現象。

さ行

三相交流方式(さんそうこうりゅうほうしき)

高圧送電線が3本1組で1回線と呼ばれるゆえん。通常電気を送るには1本に対して戻り線1本、3つの電気を送るには6本必要だが、三相交流方式においては3本の位相をずらすことによりその3本を接続した点(中性点)の電圧合計は0Vになり任意点で0Vを作り出すことができる。つまり戻り線が不要となるわけで6本を3本に出来る画期的な方式である。

変圧器において事故対策の為、中性点を地面に接地(アース)させるかどうかは電圧によって異なる。一般に22kV以下は非接地、22-154kVは抵抗を介して接地、それ以上は直接接地させる。設置させるデメリットは電磁誘導障害が発生しやすいことである。

GIS(じーあいえす)(→開閉器)(←→気中絶縁)

Gas Insulated Switch(ガス遮断器)の略。開閉器の一種。SF6ガスを用いた絶縁スイッチ。対して非GISを気中絶縁と呼ぶ。

高コストだが気中絶縁と比べコンパクトで気密性があるので降雪地域にも適している。

支線(しせん)

支線ガード(しせんがーど)

支線に対する接触事故を防ぐための黄色いカバー。電柱用語。

支柱(しちゅう)

電柱を支える為の斜めに取り付けられている柱。電柱用語。

ジャミラ型鉄塔(じゃみらがたてっとう)

頭の部分が無く、頂点から腕金が出ている形の鉄塔。

ジャンパー

耐張型碍子などで送電線が鉄塔2箇所に接続される場合、それらを繋げている細い送電線。支線を分岐させたりする場合も使用する。

重角度鉄塔(じゅうかくどてっとう)(→角度鉄塔)

角度鉄塔の一種。曲げ角度が90度以上の角度鉄塔を言う。

十字材鉄塔(じゅうじざいてっこう)(→山形鋼鉄塔)

山形鋼鉄塔の一種で骨組みが十字型になっている。強度があるがその分重量とコストがかかる。

巡視路(じゅんしろ)

鉄塔の点検用の道。林道の横などに立て札と矢印で系統名と鉄塔番号で記されている。。

登山道というよりは獣道に近いレベルの幅のものが多いが、ほぼ必ず除草やロープ、プラ階段でメンテナンスされている為、出版社発行登山ガイドや自治体推奨の登山ルートにも利用されていることが多い。

周波数変換所(しゅうはすうへんかんじょ)

日本においては歴史的な経緯により50Hzと60Hzの2種類の交流周波数が用いられている。これは東京ではドイツ製、大阪ではアメリカ製の発電機が使われたことに由来するが今でもその影響で東日本(50Hz)と西日本(60Hz)が採用されている。

周波数変換する施設を周波数変換所(FC)と呼び、日本では新信濃周波数変換所、佐久間周波数変換所、東清水周波数変換所の3箇所がある。

シングルテーパー(←→ダブルテーパー)

鉄塔の垂直線のラインが真っ直ぐで曲がり(テーパー)のない設計の鉄塔。

スペーサー

ギャロッピング対策用のパーツ。電線間に取り付けられ間を保つ

ステージ(←→腕金)

腕金の代わりに四角形の絨毯の様になっている構造。角度鉄塔や引き上げ鉄塔に使用される。

装柱(そうちゅう)

部品などが鉄塔に取り付けられている様。例:xxxが装柱されているね。

「取り付けられている」でいい様な気もするが、こんな形容動詞をさりげなく使うのも通っぽく見せる小技の一つ。

た行

耐張碍子(たいちょうがいし)(←→懸垂碍子)

鉄塔の腕金から前後に広がり伸びる力に耐える様に取り付けられたタイプの碍子。前後の鉄塔の上下角度が大きい場合もこの形が採用される。小説鉄塔武蔵野線では女鉄塔と呼ばれている。

多導体(たどうたい)

超高圧送電線では空気中においても絶縁破壊を起こし放電する現象が発生する(コロナ放電)。コロナ放電に対策するには線を太くする必要があるが、今度は重量が重くなり支えられなくなる。そこで複数の送電線を1束にして用いて線を太くするのと同様の効果を得るのが多導体送電線である。2導体から8導体まであるが、一般的に高圧ほど導体数は多くなる。

2導体以上だと154kV以上、4導体以上だと500kV以上が目安である。

直線鉄塔(ちょくせんてっとう)(←→角度鉄塔)

角度鉄塔に対して一般的に多数を占める送電線が真っ直ぐな鉄塔を指す。

D型鉄塔(でぃーがたてっとう)

片方を懸垂、片方を変電所への引き込みなど引き留め設計になっている鉄塔。広義の引留鉄塔と言うと変電所のゲートへの最終(初番)鉄塔全般を指すことが多いが、 D型鉄塔は実際にその様な設計になっている鉄塔。

ダブルテーパー(←→シングルテーパー)

鉄塔の垂直線のラインの角度が途中(ベンド点)で変化している鉄塔。多くの送電鉄塔がこのダブルテーパー。

鍛造フランジ継手(たんぞうふらんじつぎて)(→鋼管鉄塔)

地中送電線(ちちゅう送電線)(←→架空送電線)

送電鉄塔ではなく地中配線路と呼ばれるパイプ(管路埋設方式)、もしくは直接地中(直接埋設方式)を通って送電線を配置する方式。都市部の景観に配慮して地中を通す事が多いがコストが高い。

地上との距離は管路埋設方式で0.3m、直接埋設方式で0.6-1.2m(重量物影響のある場合は深い)とされている。

高圧の場合は入口と出口に引き上げ・引き下げ鉄塔が建っている。

直流方式(ちょくりゅうほうしき)(←→三相交流方式)

直流方式のデメリットは電圧変換がしにくいことであるが、同じ距離と太さであれば交流よりも直流の方がより多くの電力を送れる。なので海底ケーブルなどは高圧でも直流方式が採用されます。日本では本州北海道間(函館交直変換所と上北交直変換所間)と本州四国間(紀北交直変換所と阿南交直変換所間)が直流方式で送電されている。

鉄(てつ)

鉄塔マニアの事を指す。鉄道マニアと紛らわしいが、そこは文脈で区別する。撮り鉄と乗り鉄がある様に、送電線(系統)マニアと純鉄塔マニアに分別される。ちなみに乗り鉄塔マニアというのは余り聞いたことがない。

電圧(でんあつ)

熱損失は経路の二乗に比例し電圧の二乗に反比例するので電圧を上げると熱損失が少なくなり遠くまで送電することが出来る。

反面、電線が太くなりや安全の為の隔離距離も必要になる為、鉄塔の高さも大きくなる。また水面を超える場合はさらに隔離距離が必要になる為、100mを超える鉄塔もある。

日本の高圧鉄塔は「66kV(77kv)」「154kV」「275kV」「500kV」が多い。500kV以上を超超高圧(UHV)、220kV以上を超高圧(EHV)、それ以下22kVまでを特別高圧と呼ぶ。

電圧と鉄塔高 左から66kV(25m程度)/220kV(50m程度)/500kV(80m程度):日本鉄塔工業(株)より

塔高(とうこう)

鉄塔の背の高さ

独立線路(どくりつせんろ)(←→併架)

一つの系統がそれぞれ一つの鉄塔で併架ではなく繋がっていく送電線と鉄塔の集まり。系統。

トーショナルダンパー

カルマン風対策用パーツの1つ。

ドナウ型鉄塔(どなうがたてっとう)

1回線3本を2つの腕金で支える設計の鉄塔(多くの鉄塔は3本を3本で支える)。ドナウはドナウ川のドナウらしいが由来は不明。

塔マップ(とうまっぷ)

インターネット上の投稿型の地図データベース。鉄塔も扱っており鉄塔探訪には必携のサイトであったが2019年より稼働が止まっている。

その後有志により送電鉄塔特化型データベースである塔マップZEROが代替えとして立ち上げられる。

ドラキュラ鉄塔(どらきゅらてっとう)

オフセット鉄塔の一種で最上部の腕金が一番長く、コウモリが羽を広げている様に見える。引き上げ鉄塔を兼ねてさらに迫力があるバリエーションもある。

トラス構造(トラスこうぞう)(←→ラーメン構造)

鉄塔の構造(概念図)

鉄塔の骨組みの構造。三角形を基本として、四角を基本としたラーメン構造に比べ曲げに対する耐性が強い。シングルワーレン構造・ダブルワーレン構造・ブラット構造・ブライヒ構造と種類があるが、現在ではほとんどがブライヒ構造。

外側の4本の支柱に対して水平の補強がない場合はシングルワーレンかダブルワーレン。交差がない場合はシングルワーレン。

ダブルワーレンの支柱結合部間に水平補強が入ったのがブラット構造。そしてさらに斜め補強の交点にも水平補強がはいったのが無頼費構造。

Kトラスは支柱に対して水平の補強を基本としてその水平補強の中間点と支柱との交点を結ぶ特殊な構造。Kの字を時計回りに90度回転させたような模様に見える。降雪地域向け。

な行

難着雪リング(なんちゃくせつりんぐ)

降雪地域で送電線に雪が着雪しないように取り付けられる部品の1つ。

ねじれ防止ダンパ(ねじぼうしだんぱ)

ギャロッピング対策用のパーツ。電線に取り付けられる。

捻架(ねんが)

三相交流において各線の静電容量を一定にするために区間ごとに相を入れ替える接続。区間は送電電圧(kV)に1(km)をかけた距離が目安とされる、例えば154kVだと154kmといった具合。

1相を入れ替えを3回すると元に戻る。これを完全ねん架(1サイクル)と呼ぶ。

π引き込み(ぱいひきこみ)

文字通りπ型に2系統、変電所や工場に引き込む形。施設内でトラブルがあった時に容易にバイパスさせることができる。

バイブレスダンパ

カルマン風対策用の部品。電線に取り付けられる。

バランス耐張型

番号札(ばんごうふだ)

番号札の例

鉄塔の頂点に掲げられている白または黄色の番号札。遠くからでも視認できる。小説鉄塔武蔵野線ではこの番号を順番に追うエピソードとなっており、一つの鉄塔巡りのスタイル。

変電所から最初に接続されるのが1番であるが、まれに0番や0-1番の場合もある。

また2回線送電線で山間部などで別鉄塔に別れた場合は番号に「甲49」「乙49」などの甲乙が付いている場合もある。

のいち番号(のいちばんごう)

例えば1-1の様にハイフンが入った鉄塔番号。後から追加されたものが多い。銘板には1外1の様に表記されることもある。

は行

BTB(びーてぃーびー)

Back To Backの略で両サイドから交流を直流に変換した上で直流で連携接続するタイプの連携方式またはその設備。交流をループ状に連携させた時の問題点を回避出来る。日本ではBTBというと南福光連携所を指す。

引き上げ鉄塔(ひきあげてっとう)(→D型鉄塔)

引き上げ鉄塔の例

架空送電線から地中送電線(または変電所や工場施設)の地中へと配線するための鉄塔。鉄塔内をケーブルが落ち込んでいる。

引き下げ鉄塔(ひきさげてっとう)(=引き上げ鉄塔)(→D型鉄塔)

引留鉄塔(ひきとめてっとう)

広義では変電所のゲートなどへ繋がる最終(初番)鉄塔全般を指す。狭義ではD型鉄塔と同義。角度鉄塔や引き上げ鉄塔などの区別と混同してしまうが、別の要素の区別。

ピン碍子(ぴんがいし)(→碍子)

棒で支える原始的な碍子。張力がかからない低圧の電柱などで用いられる。

プレート(=銘板)

プレートの例

鉄塔の足の部分に付いているプレート。送電回線名、鉄塔の建設年、管理会社、鉄塔番号がわかる。大抵の場合は若番方向左手に取り付けられているが例外もある。

こちらを番号札と呼ぶ場合もあるが、本サイトでは頭頂部の番号札と区別するために銘板(プレート)を記載している。

併架(へいが)(←→独立線路)

併架の例。プレートが複数

一つの鉄塔に一つの送電経路だけとは限らず、複数の送電経路で共用されている場合が多い。頂点の「番号札」は代表的な番号しか書いていないので足元の「回線札」で確認することができる。

この様に複数の送電経路で共用されている鉄塔を併架(へいが)と呼ぶ。

異なる電圧(例えば77kVと154kV)で共用する時は上側に高い電圧(例でいうと154kV)をのせている場合が多い。

変圧器(へんあつき)

変電所内設備。送電線間の電圧を変更する。絶縁方式により乾式・ガス式・油式、冷却方式により自冷・空冷・水冷のものがある。

電柱についているボックスも変圧器の1つで電柱の6.6kVを家庭用の100-200Vに変換する。(柱上変圧器)

変電所(へんでんじょ)

変電所の例(新小松変電所)

長距離送電をするには高い電圧が適しているが、一般家庭などの需要家が使うには低い電圧に落とす必要がある。そのための設備を変電所と呼ぶ。

超高圧500kVから家庭用の200Vや電柱用の6.6kVに落とすことはせず、段階的に落とすのに1次変電所・2次変電所・配電用変電所がある。(工場などには高圧のまま引き込む場合もある)

変電所には架空送電線(場合によっていは地中送電線)が接続され、門(ゲート)の部分に送電線経路名が記されていることが多い。

また複数の電圧を扱う変電所の場合は、航空写真で見るとそれぞれ電圧毎に区分けされているのがわかる。

配電用変電所は高圧送電線から電柱の6.6kV送電線に配電するための小規模な変電所で、街中にある変電所で隣に1本だけ鉄塔が建っているとたいていは配電用変電所である。

‪###ポリマーがいし

磁器がいしに対して‪FRP芯材にシリコンかEVAコーティングが‬されている軽量な碍子。

張力のかかる所には採用されてなかっが近年普及し始めている。

鳥が食べるという話も。

ま行

銘板(めいばん) (=プレート)

や行

山形鋼鉄塔(やまがたこう)(←→鋼管鉄塔)

金属を山形に折った鋼材を使った原始的な鉄塔。ボルト・ナットで接合しやすく加工もしやすいが耐久性では鋼管鉄塔に劣る。

ヤード

変電所の中の開閉器などが置かれる区画のこと。例えば開閉器区画をスイッチヤードと呼んだりする。

ら行

LP碍子(らいんぽすとがいし)(→碍子)

連結したピン碍子を一体整形したもの。片方に棒(ピン)、片方に電線支持具(クランプ)が付いている。

レガシー鉄塔(れがしーてっとう)

古い歴史的遺産的な鉄塔。特に認定機関は聞いたことがないので主観的なものである。ゴイスー鉄塔である事が多い。

レジェンド(=レガシー鉄塔)

レガシー鉄塔とほぼ同義語だがレガシーがモノであるのに対してレジェンドはコトであるがあまり使い分けない。ホンダとスバルとは一切関係しない。

わ行

若番(わかばん)(←→老番)

鉄塔番号の低い方向を表す相対的名称(反義語:老番(おいばん)。大抵は鉄塔の足のプレートがある方向が若番方向。

参考リンク

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