ファンヒーターのノズル分解清掃修理で燃焼不良が解決

北陸などの寒冷地ではファンヒーターはよく使われる暖房器具の一つです。安価で暖房能力の高いのが長所ですが、難点は何年か使うとほぼ必ず調子が悪くなること。

ここではそんなファンヒーターの不調を治す方法を紹介します。

ファンヒーターの不調の種類

症状としては点火しなかったり灯油の匂いが気になったり、燃焼不良エラーで途中で勝手に消火されてしまうといったものが定番です。

とりあえずは吸気フィルタのホコリや燃料フィルタの汚れを取り除けば治る場合もありますが、それらは綺麗なのに症状が改善されない重症のものもあります。

燃焼不良が頻発するファンヒーター

ファンヒーターの不調の原因

実はこれらの症状、ほとんどが2つの原因で発生しています。

一つは「フレームロッドのシリコン汚れ」、もう一つは「気化器のニードルの汚れ」です。

フレームロッドは炎の中の電流を検出し燃焼を監視する為の金属棒です。これに洗濯物などから空中に出たシリコンが付着すると正常に炎が検出できなくなり、燃焼不全と誤認され勝手に消火されてしまうというわけです。

気化器は灯油を暖めて気化する為の装置。この内部にカーボンが堆積すると目詰まりを起こし正常に燃料が供給出来なくなります。ほとんどが前のシーズンの灯油を使ったことによるものです。ファンヒーターをしまう前には灯油を空にして気化器を乾燥指せた状態で保存する必要があります。

ここではダイニチを例に、自分でファンヒーターを分解清掃する方法を紹介します。燃焼機器の分解は火災の原因となるなど非常に危険な作業です。自己責任でお願いします。少しでもわからなかったり不安な場合はメーカーに修理を依頼してください。

また分解後、正常に組み立て出来る様、なるべく色々な角度からこまめに写真を撮っておく様にするとよいでしょう。

ダイニチファンヒーターの分解修理

燃焼室までの分解

フロントパネルを外す

まずファンヒーターのフロントパネルを外します。ネジ数本で固定されているだけです。

簡単に外れる

ツメの方向に注意してフロントパネルを取り外します。

燃焼室の金属フタを外す

奥には燃焼室や制御基板が見えます。燃焼室の横にある筒が気化器です。

燃焼室の金属ブタをとめてあるネジを外し、フタを取り外します。

フレームロッド

点火ロッドとフレームロッドが見える

燃焼室は燃料が出る網があり、その上に点火の火花を出す為の点火ロッドと炎を検出するフレームロッドが見えます。

このフレームロッドに白い物体が付着している場合があります。これがシリコンです。これを除去するだけで点火不良が解決する場合があります。

フレームロッド清掃

除去には金属ヤスリを使います。燃料蓋を傷つけない様に取り外してロッドの固定金具のネジも外しておくと作業性がよいでしょう。

鉛色が見えてきたら紙ヤスリの100番・400番で仕上げます。組み付ける時に燃焼網とロッドの間が近すぎない様に注意してください。元の距離に、わからない場合は4mm程度に調整しておきます。

このシリコン除去だけで症状が治る場合もあります。

気化器の取り外し

気化器を取り外す

気化器の掃除はやや難易度が高めです。電磁ポンプから気化器につながるパイプのナットをスパナで取り外します。

気化器からは制御基板に数本配線があるので、そのカプラもとります。ロックを押して抜くのですが、元に戻せる様に写真をとっておいてください。

灯油を戻すパイプは引き抜けば取り外せます。

取り外した気化器

取り外した気化器です。パイプや配線を痛めない様に慎重に扱ってください。

コードをパイプに固定して脱落防止

パイプにコードをリボンなどで固定しておくと配線に無理な力がかかりにくく安全です。

灯油戻しパイプを取り外す

気化器のフレームを外します。灯油戻しパイプをスパナで取り外し、フレームの形をよく見ながら分解していきます。

気化器の分解

フレームを外した気化器

フレームを外した気化器です。筒の先からニードルが見えます。その横が燃料を加熱する部分です。

ニードル部を引き抜く

ニードル部を引き抜きます。Oリングで密閉されているので傷つけない様にしましょう。

露出したニードルとスプリング。順番と向きを覚えておく

スプリングが飛び出てきます。奥にニードルがおさまっているので傾けると抜けてきます。順番と向きを覚えておいてください。

気化器内のカーボン除去

黒いカーボンが付着している

ニードルの先には黒いカーボンが付着しています。これがつまりや燃焼不良の原因です。

バーナーで焼いてから削り落とす

カーボンが簡単に落ちない場合はバーナーで焼いてからナイフ等で削り落とします。

筒の方はパーツクリーナーで

筒の方も同じ状態なのですが、こちらは清掃しにくいのでパーツクリーナーのノズルを入れて吹いたり、クリーナーを入れて口をふさいでシェイクしたりしてなんとか汚れを落とします。エアを吹いたり綿棒を利用するという手もあります。

組み立てと点検

きれいになったニードル

きれいになったニードルです。これで灯油がスムーズに通ります。

燃焼チェック

間違いのない様に慎重に組み立てて点火チェックします。写真はフタが開いてますが、安全のため閉じた状態で行って下さい。気化器の清掃直後はしばらくは安定しません。

点火が正常に行われるか、強火力時、低下力時それぞれ炎にムラがないか等を確認します。

点火しない場合で火花が出ない場合は点火ロッド先の空間を、点火してもすぐに消火する場合はフレームロッドの先の空間を再度確認してみてください。

火花は出るけど点火せず、煙も出ない場合でパイプや配線は正常の場合は気化器がまだ詰まってる(または作業ミスで詰まった)可能性があります。

うまく清掃が出来ると不調だった燃焼がとても安定して、時間がかかっていた点火も一瞬で完了する様になります。

それにしてもこんなにフレームロッドや気化器が汚れやすい構造は昔からです。まるでメーカーわざと数年で壊れる設計にしているのではとも思ってしまいますね(*・○・)

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